地ビール業界の現況と展望 - AgriKnowledge ホーム.PDF

地ビール業界の現況と展望 誌誌名名 日本醸造協会誌 = Journal of t e Brew ing Society of Japan IISSSSNN 著著者者 黄金井, 康 巳 巻巻//号号 107巻1号 掲掲載載ペペーージジ p. 11-18 発発行行年年月月 2012年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Ts ukuba Office, Ag riculture, Forestry and Fis e ries Researc Council Secretariat 地ビール業界の現況と展望 平成6年の規制緩和により製造潤始された地ビールは，当初のブーム後の品賞淘汰を経て現在では品質 も安定し，一定の市場を獲得し，我が固に「地ビール文化」を創造した。 本稿では，全国で唯一の地ビール製造業の業界団体である JBA (全園地ビール醸造者協議会)会長に， 地どール誕生から変遷を概観し，地ビ…ル製造業の実態 地ビールの商品特性と社会的役割，将来展望等に ついて解説していただいた。新たな市場を開拓する観点から，他種類の製造業者等にも参考となるので，ご 一読をお勧めしたい。 黄金井康巳 と今後の展望につき紹介します。 1.はじめに 2.明治時代， B本には小規模ビール藤造所があ 地ビールは，特定地域で限定量生産する小規模ピー った ル製造業による地方ローカルブランドのビールを示し ます。日本では，王子成6年 (1994年)4月の酒税法改 かつて， 日本には明治時代には全国に100を超える 正により， ビールの最低製造数量基準が引き下げられ 小さなビール醸造所が存在していました。当時はj青泊 たことにより誕生しました。こうして平成6年以降全 以外の酒類には酒税が課せられておらず，ビールには 国各地に誕生した地域に密着し，他性あふれる，少量 j蕗税が認せられていませんでした。明治34年 12月第 製造メーカーのビールを「地ビールjといいますが， 備増強のための悶税収入のため，ビールにも滋税が諜 特に酒税法等の法律で定められた用語ではありません。 せられることになり1)資金力の弱い小さなビール醸 英諮問ではクラフト・ビールとも呼ばれ，また地ビ 造所はその負担に耐えきれず姿を消してゆきました。 ールを製造する醸造所をマイクロ・ブリュワリーと呼 これにより明治30年代から 40年代にかけどール醸造 びますo IクラフトJとは本来，手作り，巧みに作ら 所は再編成され，以来資金力のある装置産業として大 れたものという意味ですが，最近では分かりやすくマ 手ビール企業に成長してゆきました。 イクロ・ブリュワリーと同様にクラフト・ビールも 3.地ビールの誕生と変遷 「地ビールjと総称しています。 欧米(特にビールが盛んなドイツやイギリスなど) 日本における地ピール誕生の発端は，平成5年 では，古くより地域ごとに特徴のある様々なビールが (1993年)9月，当時就任したての細川内閣の緊急経 製造され愛飲されていました。また，アメリカ合衆弱 済対策の一環として，新規事業の右iJtちゃ事業の拡大等 では， 1980年代後半より地方の小規模な穣造所や， を期すため，公的規制の緩和を行うことに端を発しま レストランに併設された醸造施設によ