急性期のリハビリが生命予後を延ばす.PDFVIP

長崎大学病院 2013 年 8 月 vol.44 リハビリテーション部 急性期のリハビリが生命予後を延ばす 　大学病院には理学療法士らが早期に関わって、寝 院長就任後にいろんなスタッフをつけていただい たきりを防いだり、身体の機能を保ったりするリハビリ て、リハビリは充実しており、廃用症候群の予防は があります。今回は急性期のリハビリとして大学病院 かなり進んでいると思います。 の取り組みを紹介します。 河野氏　神津先生、本院は平均在院日数が 15 日 ぐらいで患者さんは 2 週間程度しか入院しません。 脳卒中が主　増える呼吸器や循環器 急性期のリハビリではどんな疾患に関わることが多 河野氏　大学病院のリハビリを紹介したいと思いま いですか？ す。松坂先生、本院がリハビリに取り組むようにな 神津氏　脳卒中と整形外科の急性期リハビリが主で ったのは、いつからでしょうか？ すが、呼吸器疾患の呼吸リハビリ、循環器疾患の心 松坂氏　ぼくが助手になったときでした。もう 30 臓リハビリの領域が増えています。ほかの施設では 年近く前ですね。それまでは整形外科の中に理学療 脳卒中と整形外科の占める割合が約８〜９割を占め 法がありました。理学療法部という名称で中央診療 ます。しかし本院では脳卒中と整形外科で６割ぐら 部門になったのが昭和 63 年です。 い、呼吸器と心臓が約４割です。 河野氏　大学病院の理学療法の特徴は何でしょう 河野氏　脳卒中と整形外科の割合はどれくらいです か？ か？ 松坂氏　河野先生が病院長になる前と後で随分変わ 神津氏　昨年度の実績は脳卒中が 24.5％、整形外 りました。以前、リハビリは運動器疾患の整形外科 科が 31％でした。また本院はがん拠点病院ですの 的な対応が主で、リハビリテーションに対して整形 で、がんのリハビリを昨年度から始めています。 外科以外の内科や外科の先生方の理解が十分ではあ 河野氏　がんのリハビリといいますと手術したり、 りませんでした。リハビリの処方が出るのが、入院 放射線治療や化学療法の患者さんが対象ということ してから１カ月ぐらい経った後でした。その間に患 ですよね。どのようなことをされるのですか？ 者さんは廃用症候群とかいろんな合併症を持ってし 神津氏　このような患者さんでは長期入院になって まっていました。ぼくの同級生が外科医なんですが、 身体の活動量が落ち、それに伴って起こる廃用症候 「80 代の早期がんの患者さんが歩けなくなったので 群などが深刻な状況になっています。特に血液内科 リハビリをお願いします」と入院から１カ月してか の患者さんはずっと長い期間クリーンルームに入っ らリハビリの依頼がきました。既に寝たきりの状態 ていますので、活動性を落とさず日常生活を送れる でした。そのときに「早期がんの５年生存率はどれ ようリハビリしています。 くらいか」とその外科医に尋ねたところ、「ほとん どが生存している」と答えが返ってきました。しか リハビリの早期介入が回復に効果 し、ぼくは寝たきりの５年生存率は非常に低いこと 河野氏　本院では脳卒中の患者さんが増えています を伝え