凍結融解法による海水の凍結淡水化に関する研究.PDFVIP

第１８回助成研究発表会要旨集（平成１８年７月） 発表番号 ２２（0512） 凍結融解法による海水の凍結淡水化に関する研究 脇坂 港（九州工業大学大学院生命体工学研究科） 凍結濃縮法は、水分を氷の形で取り除くことにより濃 塩・濃縮海水（ニガリ）・淡水に分離することが可能なこと 縮を達成する方法で、高品質な濃縮（ヒートダメージが を確認した。 く、成分の構成比が一定）を達成する方法として知られて また、装置のエネルギー効率向上に関して、熱源とし いる。ところが、従来の凍結濃縮法は、低濃度溶液の濃 て、フロン404aで駆動する冷凍機1台を搭載し、ブライン 縮に限られ、濃縮倍率も低かった。凍結融解法において、 （エチレングリコール）を冷却（あるいは加温し）、凍結器 融解条件の制御により、融解初期に原液比数倍の濃縮 内を循環させることにより、凍結槽内に投入した海水と熱 液が得られることから、凍結濃縮装置への応用が検討さ 交換を行い、格子状の熱交換器内の溶液を凍結（あるい れている。本研究では、融解後期に得られる希薄液に着 は融解）させる装置構造とした。その結果、従来装置の 目し、海水淡水化への適用を、ラボ～パイロットスケール 冷凍機能力で比較して、約55%の省エネルギー化を実 のプロトタイプ機で検証した。 現した。エネルギー効率が向上した結果として、生産性 従来の凍結濃縮法では、海水を高度に濃縮すること が2倍に向上（従来の半分の処理時間で、同等の性能が は困難とされたが，凍結融解法による20%以上に濃縮可 得られる）した。 能となることを確認した（図１）。凍結融解法で海水を食 30 25 ) % 20 ( 度 縮 15 濃 3.28 (%) 10 7.66 (%) 5 13.72 (%) 0 0 2 4 6 8 10 融解量（%/10） 海洋深層水凍結･融解濃縮特性 図 1. 凍結融解法による海水の濃縮特性 平成１７年度助成研究報告集Ⅰ（平成１９年３月発行） 助成番号 05