企業従業員を対象とした心理的ストレス反応尺度の項目反.PDF

産業・組維心理学研究　2006年，第20巻，第1号，35－44 ノ叩α〃ど∫gA∫∫OCJdJfo〝可1〝d〃∫けfdんのrg即fzdo〃dJP∫yC力0logyJo〟用。，2006，Vol・20，No・1，35－44 企業従業員を対象とした心理的ストレス反応尺度の項目反応理論を用いた検討 大　塚　泰　正（労働安全衛生総合研究所） 小　杉　正太郎（早稲田大学） KOSUGIShotaro（WasedaUniversity） Suitableformeasunngworkers．potentialpsychologlCalstressreaction． キーワード：心理的ストレス反応，項目反応理論，段階反応モデル，項目反応カテゴリ特性曲線 CategOryCharacteristiccurve 問　　　　　題 メンタルヘルス活動推進のための施策の一つとして，質 職場におけるメンタルヘルス活動の一環として，近年 問紙法によるストレス調査が新たに導入されている。質 質問紙法による心理的ストレス反応の測定が頻繁に行わ 問紙法によるストレス調査は，職場に存在するストレッ れている。この傾向は，2000年に旧労働省が職業性スト サーの把握や，部署などの机払レベルでのストレスの特 レス筒易調査票（中央労働災害防止協会，2001；下光・徴の把握に使用される場合もあるが，これらの事例の多 原谷，2000）を発表したことによって，一層強くなった くでは，個々の従業員に心理的ストレス反応の程度をフ ように思われる。質問紙法は，測定概念の表面的な特徴 ィードバックすることによって，ストレスに対する意識 しか把握できないという短所はあるものの，作業検査法 を向上させることを目的としているものが多い。このこ や投映法とは異なり，実施および採点が簡便であるとい とから，企業におけるメンタルヘルス活動を効果的に推 う長所を持つ。 進するためには，従業員個人の自覚する心理的ストレス 質問紙法による心理的ストレス反応の測定は，企業に 反応の程度を適切な質問紙によって正確に把握すること おいてメンタルヘルス活動を推進する際に大きな役割を が必要であるといえよう。 果たしている。我が国では，2000年に旧労働省から「事 現在，我が国の産業場面で使用される心理的ストレス 業場における労働者の心の健康づくりのための指針」が 反応尺度のうち，信折性・妥当性が検証されている尺度 発表され，各企業がメンタルヘルス対策に積極的に取り としては，職業性ストレス簡易調査票（中央労働災書防 組むことが推奨されるようになった。さらに2003年には， 止協会，2001；下光・原谷，2000），職場ストレススケ 本指針を受けてその具体的な推進のためのモデル事業が 61事業所を対象に実施され，その成果が「平成15年度メ 記；小杉他，2004），NIOSH職業性ストレス調査票（原 ンタルヘルス指針推進モデル事業場事例集」（厚生労働 省・中央労働災告防止協会，2004）としてまとめられた。 この事例集には8つの事業所でのメンタルヘルス活動の 実践例が紹介されているが，そのうち7つの事業所では， 挙げられる。これらの㌫問紙は，それぞれ別個の集団を 31 大塚泰正／小杉正太郎 対象としたさまざまな時期の調査結果に基づき尺度が構 ことが可能になり，被検者の負担が減少すること，の4 成されている。しかし，これらの質問紙に含まれる下位 点を指摘している。芝（1991）は，（b）同一概念を測定 尺度を概観すると，その多くには「疲労」や「抑うつ」 する際に異なる尺度を使用して結果を比較するための具 など，いくつか