左室造影（LVG）.PDFVIP

特 　　　 まるわかり心臓カテーテル〜検査・治療・ケア〜 集 A 右前斜位（RAO）30° B 左前斜位（LAO）60° C LAO30°，頭尾（cranial）20° 図7 右冠動脈造影方向とその見え方 右冠動脈（RCA）からは円錐枝（CN），洞結節枝（SN），右室枝（RV），鋭縁枝（AM），後下行枝（4PD），房室枝（4AV）が分岐する。 A B 図8 冠攣縮誘発試験 A：左冠動脈に対してアセチルコリン20μgを 冠注したところ，左回旋枝が完全閉塞となり（矢 印），左前下行枝も99％狭窄となっている。こ のとき患者は胸痛を訴え，12誘導心電図上Ⅱ・ Ⅲ・aVF でST上昇が認められた。アセチルコリ ン負荷時は房室ブロックなどの徐脈が生じるた め，体外式ペーシングリードを挿入している。 B：ニトロール冠注によりスパスムが解除された ところ。 常はアセチルコリンの冠注が用いら 両方にスパスムが誘発されています。 冠攣縮誘発試験 れます。 図8 の症例では，アセチ このような多枝攣縮の症例ではカル 　日本人は欧米人と比較して冠攣縮 ルコリン 20μg を左冠動脈へ冠注し シウム拮抗薬を中心とした薬物療法 （スパスム）による狭心症が多いと たところ，左前下行枝（left anterior がとくに重要となります。 いわれています。このスパスムを証 descending artery；LAD）と左回旋 明する検査が冠攣縮誘発試験で，通 枝（left circumflex artery；LCX）の 左室造影（LVG） 部位の解剖を把握することです。前 前斜位（LAO）60 度の 2 方向撮影が 左室造影の目的 者は虚血性心疾患，弁膜症，心筋症 一般的ですが，先天性心疾患では， 　左室造影（left ventriculography； などが対象となり，後者は主に先天 その解剖に応じて撮影方向を決定し LVG）の目的は，①左室機能を評価 性心疾患が対象とな