経済経営研究-rieb.kobe.PDF

経済経営研究 年　　報 第28号（I） ⑥ 　神戸大学 経済経営研究所 　　1978 経済経営研究 　　　第28号（I） ⑥ 神戸大学経済経営研究所 　　　　　　　　　　　　　目 　　次 オセアニア主要港の現況（1977）…・………・ 佐攻木誠治 “効率”と“公正” 片野彦二 ある利益概念による諸会計現象の説明 ■　■　‘　●　■　●　■　■　■　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　■　■　‘　●　■　■ 中野　　勲 日本の多国籍企業の経営学的分析の視点 吉原　英樹 日本形船舶の衰退過程における日本海運業 　　近代化の三類型 下條 哲司 資本収支と為替相場に関するノート 　　■　・●　■　‘　‘ 井川 一宏 E　E　Cにおける労働者の自由移動の制限 曽 國雄 観測不可能なデータの推計に関する一考察 内田 幸夫 オセアニア主要港の現況 （1977年） 佐々木　誠　治 　　日　　　　次 I　日本とオセアニア間の定期航路 亙　オーストラリアの港とニュージーランドの港との比較 皿　シドニー港 w　メルボルン港 V　ウェリントン港 I　日本とオセアニア間の定期航路 一その現代化の特性一 　日本とオセアニアなかんずくオーストラリアとの間の交通往来は，その地理 的乃至心理的な隔絶さ・疎遠さが感じられる割には，比較的早く，かつかなり 密接な形で行なわれてきた。それは，当然，海路すなわち船舶を利用して開始 され，発展してきたものであるが，そうした海上交通・船舶往来の最中心的具 体例である定期航路＝規則的海上輸送サーヴィスは，実に，明治中期（19世紀 末）における日本近代海連業の確立・興隆のシンポル・証拠とされる三大遠洋 定期航路一北米航路・欧洲航路・濠洲航路一の開設の一環として，明治29 年（1896年）にはじめられている。 　しかも，この時期に本航路が開設される前提・基盤ともなり，その歴史的先 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　1 　経済経営研究第28号（I） 駆でもあったクイーンズランド（オーストラリア）やニュ【カレドニア等への 移民輸送にからまる日本船の就航はもとより，より早い時期，おそらくは外国 船によって営まれたであろう木曜島の真珠貝採取などを目的とした日本人の出 稼ぎ移住や彼我物産の貿易輸送等もあった。さらには，輸送の方法・ルートの 不分明な日本人のオーストラリア・木曜島到達・居住の事実が，いくつか史書 に記されてもいる。 　このような歴史・由緒があったが故か，最近急速裡に進展しはじめたコンテ ナ輸送＝コンテナ船による定期航路一裏からいえば定期航路・輸送の改善と 現代化一に関しても，日濠間のそれは又最先頭グループに属せしめられる。 日本海運各社がいよいよコンテナ化にふみ出した昭和44年（1969年）秋に，早 くも日本・オーストラリア航路にもコンテナ船が登場し