平成15年2月10日.docVIP

シンガポールの自動車事情　　　　　　　　 　　　　　　　　　　　　―　トヨタプリウスが900万円？？― 　　　はじめに 　　　　　シンガポール人の「欲しい物」としてよく「４C」と言われます。これは、「Car(車)」「Condominium（マンション）」「Club Membership（ゴルフ場?リゾートクラブ会員権）」「Credit Card（クレジットカード）の頭文字です。日本では車などは1人1台の時代を迎えている中、1人当たり国民所得が日本を超えたシンガポールで、何故「車」が人々のあこがれなのでしょうか？それは、シンガポールでの自動車政策の特殊性から現在でも車が非常に高価なものであることによります。今回はシンガポールの自動車事情についてレポートします。 １．COEとは？？車両台数の抑制策 シンガポールでは、1990年に車の保有台数を管理するためにCOE（Certificates of Entitlement） 例えば、1,600CC以上の乗用車を買う場合には車両購入権だけで266万円もかかります。（現在S$は1?＝６８円程度が実勢ですが、単純化するため1?＝７０円とします）。 2010年4月よりLTAはCOE発行件数を月あたり5,885台から4,238台へ28％も削減しました。これによりカテゴリーAを例にとると2010年1月の落札価格がS$18,502（130万円）だったものが、4月第二回目の入札では一気にS$30,000（210万円）にまで跳ね上がりました。COE価格の推移を見ると、リーマンショックの発生以降急激に低下した価格は今年に入り急騰しており、需給要因に左右されることがわかります。（2008年11月の第二回目の入札時にはなんと申込者が少なくカテゴリーAがS＄２（140円）で落札されたこともあります） COE価格の年別推移 出所：LTA　価格は4月の第二回入札価格の同時期で比較。 ２．シンガポールの車事情について 　　　　　　出所：シンガポール自動車販売協会 (1)新規登録乗用車数の推移 かつてシンガポールでは日産自動車がトップの販売台数を誇っていた時代もありましたが、この数年はトヨタがトップの地位を築いております。ちなみに、総登録台数は57万9371台と前年比2万6525台の増加にとどまっておりますが、その中でのハイブリッド車の登録台数は3,000台弱と1％にも満たない状況です。 2009年は自動車の販売台数は大きく減少しました。しかし内訳を見ると、為替の影響（シンガポールドルに対して円高、ウォン安、ユーロ安）も多分にあるでしょうが、日系メーカーが軒並み販売台数を大きく落としている一方で海外勢、韓国の躍進は目覚ましいです。タクシーにおいてもCOMFORTがヒュンダイ「ソナタ」を採用して以来、同車種を以前と比べて非常に見かけるようになったと聞いております。 また、最近は景気回復を背景として超高級車の人気が高まっており、ベントレーの外車「ミュルザンヌ」（120万ドル　8,400万円）5件、ロールスロイスの新車「ゴースト」（100万ドル　7,000万円）10件、フェラールの新スポーツカー（92万ドル　6,440万円）が30件以上と年末～来年発売予定であるにもかかわらず予約が入っているそうです。 　　　(2)車代金の価格決定メカニズム 　　日本の車は車両価格＋車検費用、登録関連の税金は概ね車両価格の10％～20％程度です。一方、シンガポールは車両価格に加えて以下の料金がかかり、ただでさえ高い車価格に加えて様々な価格が付加されます。 車両価格（輸入時に税関で査定される商品価格）＝OMV 物品税???OMV×20％ 消費税???（OMV＋物品税）×7％ 登録料???140ドル 追加登録料（OMVの100％）　バス?オートバイは5％ COE　????　入札価格 出所：JETRO　ホームページ 仮にプリウスの価格を例にとりますと、 26,540＋②5,308＋③2,229＋④140＋⑤26,540＋⑥38,000＝S$98,757（日本円で691万）がディーラー等の手数料や道路税等を除いた価格です。トヨタのHPを検索すると実際S$127,000で価格提示されておりましたので、定価で購入するとすれば900万円弱の店頭価格のようです。 おわりに 日本では、3大都市圏で最近若者が車を買わない、家族でも「カーシェアリング」が脚光を浴びている中、クルマ離れが進んでおります。私自身、日本では車は生活手段であり、正直な話、車を乗らないで生活することは難しいと思ってました。しかし、シンガポールではタクシー代は日本と比べて安く（初乗りは200円前後）、かつ電車?バスの交通網が安価で充実しており、車を保有することに必要性を感じません。 また、こ