肩関节-RECOMEDIA.PDFVIP

1 肩関節 上肢は胸郭につながる可動性の高い部分で d.第2肩関節 c.胸鎖関節 a.肩甲上腕関節 b.肩鎖関節 ある。身体の前面では胸骨とつながる鎖骨、 （狭義の肩関節） 鎖骨の遠位では肩甲骨の烏口突起と肩鎖関節 でつながっている。そして背面で胸郭上に 肩甲骨が乗った状態となっている。そして遠 位では上腕骨と関節を形成しているが、これ が狭義の肩関節であり、解剖学的には肩甲上 e.肩甲胸 腕関節という。実際に肩関節の機能的なレベ 郭関節 ルを考えると、肩甲骨の動きや鎖骨のクラン ク機能などが伴っており、肩全体の動きとし て捉える必要がある。 いわゆる解剖学的視点から肩関節をみる と、狭義の肩関節である上腕骨骨頭と肩甲骨 関節窩からなる肩甲上腕関節だけではなく、 肩関節は5つの関節の複合関節である。 解剖学的関節 前方にある肩鎖関節と胸鎖関節、後方の胸郭 　a.肩甲上腕関節、b.肩鎖関節、c.胸鎖関節 機能的関節 と肩甲骨がなす肩甲胸郭関節をも含む（図1）。 　d.第2肩関節（肩峰下関節）、e.肩甲胸郭関節 なお前方では外転、外旋最大域で肩甲骨の動 図1 肩関節の骨の配列とそれらがなす各関節 きに伴い上位の胸肋関節もわずかに動く。 肩甲上腕関節は肩甲骨関節窩と上腕骨骨頭 によって形成され、形状は球型の大きな上腕 骨骨頭が小さな皿状の肩甲骨の窪みとの間に 屈曲 できているため球関節といわれている。ソケ 外旋 内旋 ットに球が入っている状態となるため、運動 の自由度は３度となる。実際の運動をみると 伸展 外へ開く運動を外転、閉じる運動を内転、そ 水平伸展（水平外転） して前に振り上げる運動が屈曲（または前方 外転 挙上）、後ろに引き上げるのが伸展となる。 また下垂位で手のひらを外に返す運動を外 旋、内に返す運動を内旋という。また肩関節 水平屈曲（水平内転） 90゜屈曲位から上肢を後方（背側）に開く運 内転 動を水平伸展（水平外転）、前方（腹側）に 図2 肩関節の動き 持ってくる運動を水平屈曲（水平内転）とい う（図2）。 また肩甲骨は胸郭の上で上肢の運動が効率 よく行えるように働き、肩甲骨の動きが上肢 44 ファンクショナル・エクササイズ 挙上 上方回旋 180° 内 外 転 転 0° 90°