山本悠三（东京家政大学児童教育学科歴史学研究室）.PDFVIP

　　　　昭和10年度指定教化町村の選出経過 山本悠三（東京家政大学児童教育学科歴史学研究室） 　　Yuzo　YAMAMOTO（T（〕kyo　Kasei　University） 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　要　旨 　指定教化町村とは1934年から1940年までの間に47府県下に設置された。この論文はそのラち第2年度にあ たる1935年度に設置された62町村の実態を明らかにしようとするものである。12府県とは青森、岩手、秋田、 宮城、山形、埼玉、静岡、高知、福岡、佐賀、熊本、大分である。 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　Abstract キーワード：教化町村　地方行政　12府県 埼玉県 入間郡梅園村、秩父郡大滝村、北足立郡安行 はじめに 村、北埼玉郡川辺村、北埼玉郡利島村、大里 　昭和8（1933）年6月に福島県で5つの指定教化町 郡鉢村 村が選出された。翌昭和9年11月福島県は中央教化 静岡県 田方郡北狩野村、駿東郡静浦村、庵原郡両河 団体連合会（以下適宜中央の連合会もしくは連合会 内村、榛原郡相良町、浜名郡和地村 高知県 香美郡三島村、長岡郡大篠村、吾川郡長浜村、 と略す）から指定府県の1つとされ、昭和10（1935） 年2月9日に5町村は聖旨奉体指定教化町村とされ 土佐郡森村、高岡郡樗原村 た。指定府県の選出はそれ以降全国的に拡大していく 福岡県 築上郡角田村、宗像郡神輿村、糟屋郡勢門村、 ことになるが、初年度にあたる昭和9年度は福島県を 鞍手郡木屋瀬村、三潴郡木室村 含めて7府県が指定を受け全部で36町村が聖旨奉体 佐賀県 佐賀郡兵庫村、東松浦郡玉島村、小城郡砥川 指定教化町村に選出された（D。その経緯については 村、杵島郡中通村、藤津郡能古見村 既に述べたので、本稿では引き続き2年度にあたる昭 熊本県 上益城郡河原村、玉名郡南関村、鹿本郡千田 和10年度の指定府県並びに聖旨奉体指定教化町村の 村、球磨郡湯前村、天草郡御領村 選出経過について明らかにしていく。このテーマに関 大分県 東国東郡熊毛村、大分郡西庄内村、南海部郡 する研究はこれまで皆無のため、本稿では主として基 切畑村、大野郡上井田村、玖球郡南山田村 礎的な事実関係の発掘を中心に行論を進めていくこと にしたい。 　依拠する主な史料としては連合会の機関紙『教化運 　昭和10年度選出の指定府県の確定は昭和10年6月動』、連合会編『教化町村報』第1集（昭和11年6月）、 であるが、12の指定府県並びにその後8月から10月第3集（昭和12年5月）、第4集（昭和12年ll月）、 にかけて選出されることになる62の聖旨奉体指定教 第5集（昭和13年6月）、連合会編『昭和10年度指 化町村は以下の通りである。このうち静岡県の榛原郡 定　教化町村施設一覧』（昭和11年10月。以下『施 相良町が途中で抜けたため最終的に61となる。 設一覧』と略す）等である（『教化町村報』第2集は 未見）。 青森県 東津軽郡後潟村、東津軽郡西平内村、南津軽 郡浅瀬石村、津軽郡中川村、上北郡三沢村、 1　全国大会と関係会議の開催 三戸郡中沢村 岩手県 岩手郡御明神村、紫波郡彦部村、和賀郡二子 （1）指定府県の決定 村、肝沢郡佐倉河村、下閉伊郡船越村 　上述した昭和10年度の12の指定府県のうち連合会 宮城県 伊具郡館矢問村、名取郡愛島村、志田郡敷玉 が指定したのは埼玉県から大分県までの7県である。 村、栗原郡長崎村、桃生郡大