-早稻田大学.DOC

　第31回認知発達理論分科会例会発表レジュメ 　　 発表者：早稲田大学教育学部助手　阪脇孝子 　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 2010.6.19 Parker, S. T., Langer, J., and Milbrath, C. (Eds.). (2005). Biology and Knowledge revisited: From neurogenesis to psychogenesis. LEA. Chapter 1. Piaget’s Legacy in Cognitive Constructivism, Niche Construction, and Phenotype Development and Evolution (pp.1～31) 認知的構築主義, ニッチ構築、表現型の発達と進化におけるピアジェの遺産 導入　(pp.1～(reflects)するにつれ、継起的により強力なシェムを形成する。 ?　発達過程にある子どもは自らの環境を構築し、環境によって変換させられ、環境を変換させる ?cf. Waddington(1975)による”epigenetics”(後成)の語の使用：胎生期(embryological period)の表現型の発達に焦点 　　　 ① 細胞組織の変化（細胞分化と組織発生） 　　　 ② 幾何学的な形態の変化 　　 ?Piagetらは発達の後の段階にも拡張させる。遺伝子と遺伝子の産物の相互作用は、生涯を通じて継続するものである。 Colwyn Trevarthan(1973), Arnold Gesell (1945), Viktor Hamburger(1964)も同様の考え方を示す。 ?　脳の発達は発達過程にあるシェムへの刺激（それが出生前の胎児自身の行為からのフィードバックであれ、出生後に社会や物理的対象から得られたフィードバックであれ）の同化によって引き起こされるものである。 この章ではPiagetの行動発達と進化についての考え方に焦点を当てる。 (1) Piagetの概念の要約 (2) 進化における行動の役割についての考え方の歴史 (3) 現代の進化の総合説において行動の役割を無視してきたことに対する批判 (4) 後成的構築説、経験に依存した脳の発達、表現型に中心化された進化、ニッチ構築の観点からの本書の貢献について (1) ピアジェの構築主義的モデルと行動の進化 (pp.3～6)(embryogenesis)と精神発生(psychogenesis)の連続性 ② 行動のフィードバックと自己調節の後成(epigenesis)および後の発達における役割 ③ 既存の構造による環境的情報の同化と調節を通じた知識の獲得 ④ 環境の変換を促進する実際的な論理数学的モデルの構築 ⑤ 認知的構築の神経学的基盤と脳の進化におけるその歴史的?進化的連続性 ?B K, Behavior and Evolution (B E; Piaget, 1978), Adaptation and Intelligence (A I; Piaget, 1980) におけるネオ?ダーウィニズム理論に対する疑義を示し、関連する問題を提示 　(a) いかにして人間は論理―数学的構造を構築する能力を進化させてきたか 　(b) いかにこれらの構造が世界を正確に描写することができるか (c) いかに有機体の（organic）、そして認知的な調節が対応するものであるか 　(d) いかに行動と形態が共進化しえたか 　　?これらの現象はネオ?ダーウィニズムの進化モデルでは説明できない BKにおけるピアジェの議論 ?知識は環境の複製ではなく、相互作用のシステムであり、それらは外的な刺激と同様に器官の自発的な活動によって始まるという主張。 ?すべての知識は、行為のシェムを通じた既存の構造への環境からの情報の同化に基づいている。 ?物理的知識は対象に対する行為から生じ、論理―数学的知識は行為の協応の結果に対する反省から生じる。 ?高次の形態の認知と低次の形態の認知の連続性および非連続性、その起源に関する問題を強調。 ?全ての知識は構造化(structuration)が前提となる。構造化(structurization)には2つの形態：① 遺伝　②同化メカニズムの1種によって介在されたもの。 ?知性と本能の連続性：知性は本能から受け継いだものがある。本能の一部により、知性は内化(interiorization)と、外化(exteriorization)を開始する。 　? 外化（表現型の環境への順応）が物理的知識を生み出し、内化（反省的