2013年度日本流体力学会赏选考结果报告.PDFVIP

229 〔巻頭言〕 2013 年度日本流体力学会賞・選考結果報告 日本流体力学会賞選考委員会 委員長 藤 村 薫† 日本流体力学会の学会賞には「論文賞」, 「竜門賞」, 「技術賞」の三賞があり，これらにふさわしい優れた 業績をあげた個人あるいはグループを毎年表彰しています．論文賞は，過去 10 年以内に学術誌に発表され， 流体力学の発展に大きく寄与したと認められる論文の著者である本会会員に授与されます．竜門賞は，当該 年度末に 40 歳未満の本会会員で，流体力学の発展に寄与した論文を過去 10 年以内に学術誌に発表して優 れた業績をあげ，独創性と将来性に富むと認められる個人に授与されます．技術賞は，過去 10 年以内に発 表された流体力学の知見に基づく画期的な技術（製品やソフトウェアを含む）で，既に実用化などである程 度評価され，多くの人に役立ったと認められる技術を開発した個人または代表者とそのグループに授与され ます． 2013 年度の学会賞は「ながれ」32 巻 3 号の会告とホームページで募集し，10 月 31 日で締め切りまし たが，応募がなかった論文賞のみについては“「学会賞」選考の要点”にもとづいて募集期間を 11 月 30 日 まで延長しました．その結果，論文賞 4 件，竜門賞 2 件，技術賞 1 件の自薦および他薦による応募が得ら れました．流体力学の幅広い分野で活躍する研究者 10 名と委員長を含めた計 11 名で学会賞選考委員会を 構成し, ‡ 候補論文や関連論文などをもとに，選考ルールに従って厳正に選考を行いました．その結果，2013 年度の学会賞最終候補として，論文賞 2 件，竜門賞 1 名を 2014 年 2 月開催の理事会に推薦して，承認さ れました．論文賞と竜門賞の受賞者について，以下のとおりご報告いたします. 論文賞 界領域での内部解が求まらないため，球内部全域で の解を求めることが出来ていなかった． 受賞者：木田重雄（同志社大学・嘱託研究員） 本受賞論文では，臨界領域における速度場を支配 対象論文：S. Kida: “Steady flow in a rapidly rotating する方程式を解くことに成功し，それをもとに球内 sphere with weak precession, Journal of Fluid 全域で滑らかに変化する解を求めることによって， Mechanics, Vol. 680, pp. 150—193 (2011). 約半世紀にわたって研究者を悩ましてきた問題を見 事に解決した．受賞者は，これまで不明のまま放置 選考理由： されてきた臨界領域における速度場の正しい境界条 弱い歳差運動を伴う高速回転球内の非圧縮性粘性 件を求め，それに基づく臨界領域の速度場の数値解 流体の運動は，地球内部の対流をモデル化したもの 析を実行した．さらに，境界層と臨界領域における として，とりわけ地球磁場の生成維持機構を説明す 解を境界条件とする非粘性領域の解を求めたが，そ る目的で，1950 年代以降，活発に研究されてきた． の際にルジャンドル多項式が展開関数として適して 弱歳差高速回転と高レイノルズ数の極限のもとでの いることを見出し，それを用いた弱歳差高速回転極 漸近解析が行われ，球面近傍における境界層を除く 限での漸近解として，