粉末X线回折测定法.PDF

001-0909.pdf 1 1 2.58 粉末Ｘ線回折測定法 2 次のように改める． 3 4 本試験法は，三薬局方での調和合意に基づき規定した試験法である． 5 粉末 X 線回折測定法は，粉末試料に X 線を照射し，その物質中の電子を強制振動させることにより生じる干渉性 6 散乱 X 線による回折強度を，各回折角について測定する方法である． 7 化合物のすべての結晶相は特徴的な X 線回折パターンを示す．X 線回折パターンは，微結晶又はある程度の大きさ 8 の結晶片からなる無配向化した結晶性粉末から得られる．単位格子の種類と大きさに依存した回折線の角度，主とし 9 て原子の種類と配列並びに試料中の粒子配向に依存した回折線の強度，及び測定装置の解像力と微結晶の大きさ，歪 10 み及び試料の厚さに依存した回折線の形状の 3 種類の情報が，通例，X 線回折パターンから得られる． 11 回折線の角度及び強度の測定は，結晶物質の結晶相の同定などの定性的及び定量的な相分析に用いられる．また， 12 非晶質と結晶の割合の評価も可能である(1) ．粉末X 線回折測定法は，他の分析試験方法と比べ，非破壊的な測定法で 13 ある（試料調製は，試料の無配向を保証するための粉砕に限られる）．粉末X 線回折測定は，低温・低湿又は高温・ 14 高湿のような特別な条件においても可能である． 15 16 17 図 2.58-1 ブラッグの法則に基づいた結晶による X 線回折 18 19 １．原理 20 X 線回折は X 線と原子の電子雲との間の相互作用の結果生じる．原子配列に依存して，散乱 X 線に干渉が生じる． 21 干渉は回折した二つの X 線波の行路差が波長の整数倍異なる場合に強められる．この選択的条件はブラッグの法則と 22 呼ばれ，ブラッグの式（次式）により表される．（図 2.58-1） 23 2d sin ＝n hkl hkl 24 X 線の波長  は，通例，連続する結晶格子面間の距離又は面間隔 d と同程度の大きさである． は入射 X 線と hkl hkl 25 格子面群との間の角度であり，sin は連続する結晶格子面間の距離又は面間隔 d と反比例の関係となる． hkl hkl 26 単位格子軸に関連して，格子面の方向と間隔はミラー指数{hkl}により規定される．これらの指数は，結晶面が単位 27 格子軸と作る切片の逆数の最も小さい整数である．単位格子の大きさは，軸長 a，b，c とそれぞれの軸間の角度， 28 ， により与えられる．特定の平行な hkl 面の組の格子面間隔は dhkl により表される．それぞれの格子面の同系列の 29 面は 1/n （n は整数）の面間隔を持ち，nh，nk，nl 面による高次の回折を示す．結晶のあらゆる組の格子面は，特定の 30  に対応するブラッグ回折角 を有する． hkl 2 001-0909.pdf 31 粉末試料は多結晶であり，いずれの角度  においてもブラッグの法則で示される回折が可能となる方向を向いて hkl 32 いる微結晶が存在する(2) ．一定の波長のX