病原体情报-横浜.PDFVIP

第４章 病原体情報 1. ウイルス検査 (1) 病原体定点調査成績について 病原体定点医療機関で採取された検体を用いたウイルス調査は、感染症サーベイランス事業（現・感 染症発生動向調査事業）の一環として昭和53（1978)年11月以来継続的に実施しています。ここでは、 平成 24（2012）年の調査結果をまとめました(P64～65 表)。 ウイルス分離には培養細胞(Hep-2､Vero､MDCK､CacoⅡ)を用いました。細胞に検体を接種して 1-2 週間観察し、細胞変性効果(CPE)が現れた検体は中和試験法・赤血球凝集抑制（HI）、遺伝子検査等 によりウイルスを同定しました。それ以外の検体は継代をしてさらに 1-2 週間観察し、CPE が現れなかっ た場合は、分離陰性と判定しました。また、使用している細胞では分離されないウイルスについては、検 体から遺伝子検査を行い同定しました。 平成 24 年は、市内 9 ヵ所の小児科定点、3 ヵ所の内科定点、1 ヵ所の眼科定点と、4 ヵ所の基幹（病 院）定点で採取された咽頭ぬぐい液、ふん便、結膜ぬぐい液、髄液など 752 検体についてウイルス分離 等を行い、分離検出数は 516（分離率 68.7%）でした。 ア アデノウイルス 咽頭炎、扁桃炎、肺炎などの急性呼吸器疾患、咽頭結膜熱や流行性角結膜炎および乳幼児下痢 症や出血性膀胱炎など多彩な感染症を引き起こす病原体です。平成 24 年は、アデノウイルス 2 型、3 型、4型を中心に68株が分離検出されました。主に小児科定点の気道炎患者から同定されましたが、 それ以外にも感染性胃腸炎患者由来で 7 検体、咽頭結膜熱患者由来で 2 検体検出されました。眼科 定点では、流行性角結膜炎患者由来の 2 検体から分離されました。 イ インフルエンザウイルス 高熱、筋肉痛などを伴う風邪の症状を引き起こす病原体で、毎年冬季に流行を引き起こします。平 成 24 年は、AH3 型が 107 株、B 型 79 株、AH1pdm09 型 1 株が分離されました（詳細は別途記載のイ ンフルエンザ様疾患の項をご参照下さい）。 ウ RS ウイルス 冬季の小児の風邪の病因ウイルスで、重症化すると細気管支炎や肺炎等の下気道炎を引き起こす 病原体です。また、インフルエンザと同様に、高齢者においてもしばしば重症の下気道疾患の原因と なり、特に、長期療養施設内での集団発生が問題視されています。平成 24 年は、主に小児科定点の 気道炎患者由来の検体から 43 株検出されました。 エ エンテロウイルス 小児の夏風邪の原因となる病原体で、特徴的な疾患には、ヘルパンギーナ、手足口病があり、重 症化すると無菌性髄膜炎等を引き起こします。平成 24 年は、夏季を中心に 10 種 70 株が分離検出さ れました。ヘルパンギーナ患者由来の 10 検体からは、コクサッキーウイルス(Cox)A4 型 4 株、CoxA5 型