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病理学総论
病理学総論 炎症(1)
1月25日(金)1、2限
丹下 剛先生
◎炎症は生体の防御機構の一つである。
○生体の防御機構
免疫…高等動物にのみ存在する
炎症…循環系を持つものに存在する
貪食…食細胞によるもっとも基本的な防御機構
○炎症とは
古典的な定義―「血管?結合組織への障害刺激に対する防御的な一連の連鎖的な反応」
炎症の4徴候(Celsus A.D.130~200)
発赤(color)
発熱(lubor):局所血管の拡張に伴う充血、鬱血による
腫脹(tumor):鬱血および血漿成分の浸出による
疼痛(dolor):肥満細胞が放出した化学物質による
(ブラディキニンが知覚神経を刺激する)
これら4つの反応が10分ほどの間に連鎖的に起こるのが(急性)炎症である。
※これに機能障害を加えた5徴候として捉えられることもある。(Garenus)
炎症範囲
局所炎症:臓器でない部分での炎症。
臓器炎症:臓器の実質細胞を傷害するような炎症。病気としての炎症はこちら。
○炎症研究の歴史
Cohnheim(1867年頃):「炎症は血管にまつわる反応である。」=血管透過性説
Metchnikoff(1892年頃):「マクロファージの貪食能が防衛反応に重要」
Menkin(1940 年頃):炎症の生化学の先駆者。
炎症に関与する物質群について研究した。(Menkin factor)
林秀雄:刺激物質に対して末梢血管が一度収縮してから拡張することを観察した。
また、充血後血管の透過性が亢進し、白血球が浸潤することも観察した。
○炎症の時に起こる出来事
1、組織への傷害
病原微生物や抗原抗体反応、物理的刺激(火傷)や化学的刺激(酸による腐食)、異物によって炎症は起こる。病原微生物による炎症は抗生物質投与など微生物を殺すことで炎症を緩和でき、また抗原抗体反応による炎症は免疫抑制剤などで緩和できる。
2、微小血管での変化
微小血管は一時的に収縮した後に拡張する。その結果、細静脈で血管内皮細胞間のtight junctionの隙間が広がり血漿が浸潤し、その後に炎症細胞が血管外へと遊走する。この過程で様々な物質(=Menkin factor =chemical mediator)が内皮細胞や炎症細胞に作用する。様々な物質というのはヒスタミンやプロスタグランディン類、キニンなどであるが、ここでは詳しく述べない。ここが急性炎症の中心となる出来事である。
3、修復
マクロファージが貪食することで起炎物質を除去し、線維芽細胞の増殖と血管新生により肉芽組織が形成される。場合によっては傷害された実質細胞が再生する。起炎物質に補体が付着すると貪食の効率が高まる。
4、慢性化
修復時に起炎物質が除去されない場合には、慢性化が起きる。慢性化については慢性炎症の所で述べる。
○炎症の分類
進展形式による分類
連続性:起炎物質が組織の内部を経て広がるのに合わせて炎症が広がっていく。
管内性:起炎物質が気道を経て広がり、それに合わせて炎症が広がる。
壊死組織には空洞ができる。
リンパ行性:起炎物質がその付近のリンパ腺からリンパ節に入り、リンパ節炎を起こす。
血行性:起炎物質が血中に入り、体の様々な部位に炎症が広がる。
菌血症:菌が血中で増殖し、その菌に対して炎症反応が起こること。
敗血症:菌が血中で毒素を産生し、その毒素に対して炎症反応が起こること。
※脾炎:脾臓は好中球による炎症が起こりやすく、血行性で炎症が起こっているかどうかの指標となる。
浸出物や組織の状況による分類
急性炎症
漿液性:血漿成分のみが浸出する。例)鼻水
繊維素性:フィブリンと血漿成分が浸出する。
化膿性:好中球も浸出する。
出血性:多量の赤血球が炎症組織に含まれる。例)ペスト、インフルエンザでの炎症
壊死性:炎症により組織に壊死が起こっている。
壊疽性:壊死組織で腐敗が起こっている。
慢性炎症
増殖性:血管新生、細胞構築が見られる。
肉芽腫性:肉芽腫を作る。例)結核、梅毒、ライ病、サルコイドーシス
◎急性炎症各論
炎症の起こる組織、臓器について各分類ごとに説明する。
1)漿液性炎
結合組織-虫さされ、アレルギー鼻炎など。(免疫反応と関与している)
粘膜-コレラ(水溶性の下痢)、アレルギー性鼻炎
2)線維素性炎
漿膜-心膜炎(絨毛心)、胸膜炎
フィブリンが基質化し癒着する。
腸粘膜
偽膜性炎:粘膜表面を浸出物が膜状に覆う。(偽膜)
膜性炎:フィブリンが深部にまで及び腸管粘膜の壊死を起こす。例)ジフテリア
肺
大葉性肺炎:一つの葉全体で炎症が起こる。肺炎双球菌による。
?症状の推移
充血期:肺胞毛細血管で充血が起
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