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法人格否认の法理
法人格否認の法理
◆判例 S44.02.27 第一小法廷?判決 昭和43(オ)877 建物明渡請求(民集第23巻2号511頁)【判示事項】一、法人格否認の法理
二、実質が個人企業と認められる株式会社における取引の効果の帰属
【要旨】一、社団法人において、法人格がまつたくの形骸にすぎない場合またはそれが法律の適用を回避するために濫用される場合には、その法人格を否認することができる。二、株式会社の実質がまつたく個人企業と認められる場合には、これと取引をした相手方は、会社名義でされた取引についても、これを背後にある実体たる個人の行為と認めて、その責任を追求することができ、また、個人名義でされた取引についても、商法五〇四条によらないで、直ちにこれを会社の行為と認めることができる。【参照?法条】 民法33条,商法52条,商法504条およそ社団法人において法人とその構成員たる社員とが法律上別個の人格であることはいうまでもなく、このことは社員が一人である場合でも同様である。しかし、およそ法人格の付与は社会的に存在する団体についてその価値を評価してなされる立法政策によるものであつて、これを権利主体として表現せしめるに値すると認めるときに、法的技術に基づいて行なわれるものなのである。従つて、法人格が全くの形骸にすぎない場合、またはそれが法律の適用を回避するために濫用されるが如き場合においては、法人格を認めることは、法人格なるものの本来の目的に照らして許すべからざるものというべきであり、法人格を否認すべきことが要請される場合を生じるのである。そして、この点に関し、株式会社については、特に次の場合が考慮されなければならないのである。 思うに、株式会社は準則主義によつて容易に設立され得、かつ、いわゆる一人会社すら可能であるため、株式会社形態がいわば単なる藁人形に過ぎず、会社即個人であり、個人則会社であつて、その実質が全く個人企業と認められるが如き場合を生じるのであつて、このような場合、これと取引する相手方としては、その取引がはたして会社としてなされたか、または個人としてなされたか判然しないことすら多く、相手方の保護を必要とするのである。ここにおいて次のことが認められる。すなわち、このような場合、会社という法的形態の背後に存在する実体たる個人に迫る必要を生じるときは、会社名義でなされた取引であつても、相手方は会社という法人格を否認して恰も法人格のないと同様、その取引をば背後者たる個人の行為であると認めて、その責任を追求することを得、そして、また、個人名義でなされた行為であつても、相手方は敢て商法五〇四条を俟つまでもなく、直ちにその行為を会社の行為であると認め得るのである。けだし、このように解しなければ、個人が株式会社形態を利用することによつて、いわれなく相手方の利益が害される虞があるからである。第三者異議訴訟を法人格否認の法理により排斥した事例
最判平成17年7月15日
ボツネタ経由で知った重要判例である。
判決要旨部分
「 2 甲会社がその債務を免れるために乙会社の法人格を濫用している場合には,法人格否認の法理により,両会社は,その取引の相手方に対し,両会社が別個の法人格であることを主張することができず,相手方は,両会社のいずれに対してもその債務について履行を求めることができるが,判決の既判力及び執行力の範囲については,法人格否認の法理を適用して判決に当事者として表示されていない会社にまでこれを拡張することは許されない(最高裁昭和43年(オ)第877号同44年2月27日第一小法廷判決?民集23巻2号511頁,最高裁昭和45年(オ)第658号同48年10月26日第二小法廷判決?民集27巻9号1240頁,最高裁昭和50年(オ)第745号同53年9月14日第一小法廷判決?裁判集民事125号57頁参照)。
ところで,第三者異議の訴えは,債務名義の執行力が原告に及ばないことを異議事由として強制執行の排除を求めるものではなく,執行債務者に対して適法に開始された強制執行の目的物について原告が所有権その他目的物の譲渡又は引渡しを妨げる権利を有するなど強制執行による侵害を受忍すべき地位にないことを異議事由として強制執行の排除を求めるものである。そうすると,第三者異議の訴えについて,法人格否認の法理の適用を排除すべき理由はなく,原告の法人格が執行債務者に対する強制執行を回避するために濫用されている場合には,原告は,執行債務者と別個の法人格であることを主張して強制執行の不許を求めることは許されないというべきである。」
ロースクールの学生さんたちは、是非、この判旨の意味を理解し、他の事例、たとえば当事者確定の場面でよく出てくる別
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