口腔外科領域感染症に対するNY-198 の使用経験.pdfVIP

VOL.36 S-2 CHEMOTHERAPY 1415 口腔外科領域感染症 に対 す るNY-198の使用経験 儀 間 裕 ・山 城 正 宏 琉球大学医学部歯科口腔外科学教室 藤 井 信 男 沖縄県立中部病院歯科 口腔外科 口腔外科領域の感染症11例に,経 口用 のニューキノロン系抗菌剤 であるNY-198(1-ethyl-6,8 -difluoro-1 , acidhydrochloride)を投与 し,以下の結果 が得 られた。1日投与量はすべて600mg分3回で,治療成 績 は著効3例,有 効8例 で,有効率100%であった。副作用 は認め られなかったが,臨床検査所見で2 例 にGPT値 の軽度 上昇が認め られた。 NY-198は北陸製薬株式会社 中央研究所 で開発 された 5例,顎 炎(顎骨周囲炎)(Osteitisofjaw)4例の計11 経口用ニューキノロン系抗菌剤で,そ の化学構造はキノ 例 である。性別は男性7例,女 性4例 で,年齢 は17歳～ ロンカルボ ン酸 を基本骨格 に,1位にエチル基,6,8位 44歳 平均28.5歳である。基礎疾患 に罹患 している症例 にフッ素原子 を,7位側鎖 に3-メ チルピペ ラジノ基 を は認 め られず,ま た各種抗菌剤 に過敏症の既往のある症 導入 した ものである(Fig.1)。本剤 はグラム陰性菌のみ 例 も対象か ら除外 した。 な らず陽性菌および嫌気性菌 に対 して も広い抗菌スペ ク 2.投与方法 トル を有 し,norfloxacin(NFLX),ofloxacin(OFLX) に匹敵す る抗菌力が認め られてい る。今回,われわれは 投与方法 としては,全症例1日6カ プセル(1カ プセ 口腔領域の感染症 に対 し本剤 を投与 し,その効果 につい ル 中NY-198を100mg含有)を3回 に分 け経 口投与 した。 て検討 を加えたので報告する。 投与 日数 は5日 ～8日,総 投与量 均3500mgである。 II効果判定基準 治療効果 の判定 は,歯科薬物療法研究会誌の 歯「性感 染症 に対す る抗生物質の効果判定基準 について」1)に従 い13項目の臨床症状 について評点 し,投与開始 日と投与 3日 目および5日 目との評点比 によ り評価 を行 なった。 そ して評価比が0.3以下 を著 満 を有効(Good),0.7以上 を無効(Poor)とした。 また Fig. 1. Chemical structure of NY-198 同時に臨床症状の変化 患者の問診,細 菌学的検査 など