口腔感染症に対するピリドンカルボン酸系抗菌剤(NY-198) の臨床的検討.pdfVIP

1408 CHEMOTHERAPY JUNE 1988 口腔感染症 に対す るピ リ ドンカル ボン酸系抗菌剤(NY-198)の臨床 的検討 玉 井 健 三 ・中 新 敏 彦 ・松 原 完 也 ・中川 清 昌 金沢大学医学部口腔外科学講座 新しいピリドンカルボン酸系経口抗菌剤であるNY-198について,口腔感染症29例に対する臨床的 検討を行なった。その結果,NY-198の臨床効果は有効21例で有効率72%であった。本剤は1回100 mg,1日4回で口腔感染症に対 し充分効果が期待できた。副作用は1例も認められなかった。以上の 成績からNY-198は口腔感染症に有用な薬剤 と考えられる。 NY-198は,1981年北陸製薬(株)研究所で開発 された経 本治験 の 目的に影響 を及にけ と考 えられ る他の抗菌剤, 口用 ピリドンカルボン酸系抗菌剤で,構造式はFig.1に 抗炎症剤,解 熱鎮痛剤お よび利尿剤(フ ロセ ミ ドなど) 示すごとくである。 の併用は原則 として行なわないことにした。 しか し,患 本剤 はinvitroでグラム陰性のみならずグラム陽性の 者の病態 によ りやむ を得ず併用 した場合,特 に口腔外科 好気性菌群 に対 して も幅広い抗菌スペ ク トル と優れた抗 処置後 の鎮痛 目的で投与す る鎮痛剤は頓用 で使用 し1ケ 菌力を示 し,その抗菌力はピペ ミ ド酸 をはるかに凌 ぎ, ースカー ドに明記す るように した ノルフロキサシンおよびオフロキサシンとは同程度であ 。 る。さらに,感染防禦効果によるinvivoの抗菌力におい 4.局所処置 て もNY-198は優れた効果 を示す抗菌剤である1,2)。 原則 として,投与期間中は治療 のため,膿瘍切 開お よ われわれは本剤 について,口腔感染症 の治療 に応用 し, び減圧 を目的 とした穿刺 ならびに根管 開放,抜歯 など特 臨床効果をあげることができたので報告する。 別 な処置は避 けた。 5.症状 所見の観察項 目および臨床効果の判定 上記項 目お よび臨床効果 は,口腔領域の効果判定基 準3)に従 った。なお,本治験 では口腔領域の効果判定基準 の10点か ら14点の軽症16例,15点か ら19点までの中等症 13例お よび20点以上の重症例10例よ り構成 されていた。 また,効果判定は29例全てに可能 であ り,効果判定は投 与開始後3日 目に判定を行 ない,3日 目の合計点数を投 与開始 日の合計点数 で除 した値 をもとに,著効(≦0.3), Fig. 1. Chemical structure of NY-198 有効(0.3～0.7)および無効(≧0.7)の点数評価 を行 な った。 さらに,主 治医による判定は臨床症状,経 過をも とに著効,有効,や や有効,無 効の