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ツキノワグマによる樹幹剥皮被害防除対策の検討 誌誌名名 長野県林業総合 ンター研究報告 IISSSSNN 1342775X 近藤, 道治 著著者者 岡田, 充弘 巻巻//号号 24号 掲掲載載ペペーージジ p. 25-34 発発行行年年月月 2010年1月 農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波事務所 Ts ukuba Office, Ag riculture, Forestry and Fis he ries Research Council Secretariat ツキノワグマによる樹幹剥皮被害防除対策の検討 近藤道治・岡田充弘 県内のツキノワグマによる剥皮被害は近年増加傾向にあり， 2008年には上伊那，下伊那や木曽地方を 中心に県内27市町村で被害が確認された。被害樹種はヒノキが圧倒的に多く，スギ，カラマツ，サワラ， ドイツトウヒなどで認められた。ツキノワグマによる剥皮被害木は，ヒノキでは10～15年経過すると材 内部に変色毘腐朽が発生し，剥皮被害最上端から上方へ0.2～1.1m広がっていた。また， ドイツトウで は被害から 9年経過すると材内部に変色・腐朽が発生し，全周囲の 1/2程度の被害を受けた場合，泰I］皮 被害最上端から上方へ変色が6.5m，腐朽が3m広がっていた。剥皮被害防止を目的として，①「バンド 処理J，②「間伐材等積み上げ処理j，③「バンド処理」と「間伐材等積み上げ処理J併用，の効果試験 を行ったところ，「バンド処理」は被害防止効果がみとめられたが，「間伐材等積み上げ処理」では間伐 材を積んでいない方向からの被害が発生した。 キーワード ツキノワグマ，剥皮被害，変色・腐朽の広がり，被害防除技術 緒言 長野県ではツキノワグマによる林業被害額等 ツキノワグマによる幹剥皮被害は「クマハギ」 について毎年取りまとめられている。この林業被 とよばれ，長野県では下伊那や木曽地方を中心に 害統計等から県内のクマハギ被害の現状を取りま 被害が多発し問題になっている（岡田ら 2006。） とめた。 剥皮被害が発生するとスギやヒノキでは材内 2.2 調査の方法 に変色・腐朽が発生する（柴田ら 1992，和口ら 1995, 2. 2.1県内の被害発生状況 斉藤2002）ことが知られているが，樹種の違いや これまでの県内ツキノワグマの林業被害統計お 損傷の大きさによる変色・腐朽の広がりについて よび県林業公社等からの聞き取り調査等から，県 は不明な点も多い。 内のクマハギ被害の実態を把握した。 被害発生地域では，幹剥皮被害防止のため個体 2.3 結果と考察 捕獲やテープ巻きなどの対策がとられてきたが， 2. 3.1被害の発生状況 こうした被害対策により効果が上がる場合も認め 図－1は長野県の林業被害統計から，ツキノワ られるが，必ずしも効果が上がらない場合もあり， グマによる被害額をデータの残っている 1979年 より効果的な防除技術を検討する必要がある。 度からまとめたものである。 1979年度にはすでに 本研究では，長野県におけるクマハギ被害の実 被害額は 5000万円程度発生していた。その後被害 態を把握し，クマハギ被害から立木内部に発生す 額は減少傾向にあったが， 1988年度以降は増加に る変色や腐朽の広がりを調査するとともに，クマ