若者の言叶について.doc

若者の言葉について １．はじめに 言葉は生き物である。時代とともに、その形は少しずつ変わっていく。それはまるで、私たち人間が、そしてすべての生き物が、少しずつ成長していく様子に似ている。とにかく、若者言葉は、その移り変わりが速く、今使われている言葉もいずれと言っても、おそらく二、三年後には使われなくなっているかもしれない。若者言葉に考察するきっかけになってのは、日本で留学している時に、日本の友達が非常に楽しそうに話しを交わしたり、その会話の中に私に通じない言葉がよく出てくることに気付いたからである。したがって、若者語の定義と種類、生まれた歴史原因、特徴、機能と目的、そして若者言葉についての批判と肯定などの方面から検討を行っていきたい。 ２．若者の言葉 2.1若者言葉の定義と種類 若者言葉とは、中学生から30歳ぐらいの若い人が、言葉で楽しんだり、グループの気持ちを強めたりするために、使っている特別な言い方である。その言葉は日本語の文法を考えずに、自由に楽しく作られている。特別な言い方がたくさんあるので、グループに入っていない人には、意味が通じない。 若者言葉は具体的にはキャンパス言葉（学生語）、OL言葉と若い男性社会人の言葉の三つに分けることができる。「キャンパス言葉」は一般に大学生がキャンパスで使用する学校に関する言葉を指すが、ここでは中学生まで下げて使うことにする。学生語はキャンパス言葉よりも広がっている。また学校に関すること以外についても言う言葉である。「OL言葉」は若いOLが仲間内で使う（多くは社内）特有の語で、業種ごとに違いがある。これはキャンパス言葉、学生語に見られない語である。「若い男性社会人の言葉」は理論上には考えられるが、実際はあまりない。したがって、若者語の大部分はキャンパス（学生語）、OL言葉となる。 2.2若者言葉の生まれた歴史原因 若者語を歴史的に見た場合、それは日本の近代化によって生み出されたと考えられる。ここでいう近代化とは個人がさまざまな束縛や規範から解放される自由になることを指す。近代化の過程で思想、習慣、職業、生活、人間関係などに求められた自由は必然的に言葉にも求められた。従来の語形、意味、用法から自由でありたいという思いから言葉が遊戯化に向かう若者語である。 2.3若者言葉の特徴 若者言葉の特徴というと、大体次のように三つの特徴がある。 仲間同士の言葉である 今の若者が敬語を使うのが苦手でコミュニケーションをしないと言われたことがある。しかし、若者語を使って友達と話すときはいくらでも話していることができる。 情報を伝えるではなく、楽しく過ごすことが目的である。 日本語の文法や規則から離れて自由に作られる。 若者は洋服、考え方など、どんどん新しいものを取り入れていくものである。そして、言葉でもどんどん新しい言葉を作ったり、今までの言葉を違う意味で使ったりしている。 2.4若者言葉の機能と目的 若者語は何のために使われるのだろうか。言葉は意志伝達のために使うとよく言うが、若者語はどうなるのだろうか。言いかえればこの問題は若者語はどんな機能を果たしているのかということになる。すなわち目的と機能はコインの表と裏のような目的を見ることにつながる。そこで若者語をコミュニケーションの機能から探ってみよう。 娯楽機能 これは若者語を使って会話に笑いを生じさせ、楽しむ機能である。これには二種類あり、一つは「造語時における娯楽」であり、もう一つは「使用時における娯楽」である。「造語時における娯楽」とは、その場で思いつき造語して楽しんだり既に造語された若者語を変形して楽しむことである。若者は会話自体を楽しむために会話をする傾向が強い話題を選択するだけではなく、面白い語を造ったり、使って楽しんで言ったりのために重要である。また、これは平和な娯楽を求めた社会である。 会話促進機能 これは娯楽機能をさらに進めて、若者語を使って会話を盛りあげたり、仲を良くしたりする機能である。娯楽機能はどちらと言うと話し手の会話促進機能は会話参加者全員の会話を盛り上げるためのものである。会話の「ノリ」を求める若者にはもっとも重要なものと言える。 連帯機能 これはくだけた言葉を仲間で使うことによって親近感を持たせ、「ウチの人間」という仲間意識を強める機能である。若者語はもともと仲間中の言葉なので、それを使えば使うほど連帯感は強化される。逆に考えれば若者語は仲間以外の者を疎外する機能も併せ持つわけの関係にある。連帯機能は特に狭い範囲の仲間内の語に見られる。 イメージ伝達機能 これは視覚的あるいは聴覚的な単語や表現を用いて瞬間的に物事のイメージを伝える機能である。言葉をいろいろ使って説明的に表現するよりも簡単にイメージが伝わり、会話のテンポも