2013年早稻田大学文学部现代文解答解说.PDFVIP

2013年度 早稲田大学 文学部（現代文） 解答解説 （一） 解答 問一 イ 問二 へ 問三 問題群 問四 ロ 問五 １＝ニ ２＝ハ ３＝ハ 問六 ロ 問七 イ・ハ 問八 １＝明瞭 ２＝零落 ３＝陶酔 解説 現代の問題群に忠実に対決するための精神のありようについて論じた文章である。既成の制度に囚われ、制度 の枠の中で問題に対して解答を与えようとする精神のありようを否定し、「世界に応答するもの」としての精神、 つまり相互交渉の重要性を論じた文章である。論旨はきわめて明快なのであるが、「解答」と「問題」、「美醜」 と「真偽」という対比や、「処方された幸福」などのレトリックが駆使されており、この手の文章を読み慣れて いない受験生には難しく感じられたかも知れない。設問は本学部の標準的な形式・難易度である。 問一 ここでの「精神の経験」は「現代が含み持つ人類史的問題群を丸きり度外視した別の実用的目的から『論題』 を取り出して恰もそれが問題であるかの如く受け取って、それに対する精密な『解答』を作製しようとする研究 上の姿勢」と対立するものである。この姿勢は「現代」の「問題群」を度外視している姿勢なのだから、「精神 の経験」とは現代の問題群を経験すること、つまり第一段落にある「今日の根本的な危機性」に「応答する」と いうことになる。 問二 「『解答』の世界が持ちうる性質」が「ここ」に暗示されているのであるから、脱落文が入る箇所の直前に 「解答」の世界の説明がされていないとおかしい。イ～へを含む段落では、ホの前の文までが「問題」の領域 の説明になっており、最後の一文が「それに反して」と「解答」の世界についての説明になっている。したが って空欄 へ に入れることになる。 問三 空欄 甲 の直前に「今日の私たちを取り巻き且つ貫いている」と説明されていることに注意する。第一段落 で「問題群」の世界を「私たち自身を組み込み且つ貫き通している」と説明しているので、この対応から考える。 問四 傍線部の前文で「落魄せるものの中にはしばしば重大な変化の本質的真実が歪められた形を持って存在して いる」とあるが、傍線部はこれを言い換えた表現である。「その形」が「落魄せるもの」を指し、「その核心」 が「重大な変化の本質的真実」を指している。「交錯した関係」とは真実が「歪められた形を持って存在して いる」ことの言い換えである。傍線部の前文はさらにその前の文中の「ゲテモノの中に、今日の私たちを取り 巻き且つ貫いている 甲 が影を落としている」を言い換えた表現であることをつかめばロを選ぶことができ る。 問五 １ 一文を見れば空欄 １ は「そこ」に残るものであることがわかる。「そこ」とは前文の「廃たれ行く Copyright (C) 2013 Johnan Prep School もの、…にありったけの眼光を注ぎ込んで、その質を見極めようとしないところ」であり、それは「真偽の別 は遂に分からず、現代の根本的な危機性もまた見過ごされて了う」と説明されている。これは「解答」の世界 にあることの説明であり、解答の世界は「精神の経験」（傍線部Ａ）がない世界、つまり世界に応答するものと しての精神の働きがない世界である。そこからニを選ぶ。直前の「満足の日を送る」という説明からも人間の ありようとして考えることができる。 ２ 下に「凝固」とあることと、「解答」主義と結びつくものであることを考えればハをとるしかない。「解 答」の世界は固定した制度に囚われた世界であることが理解できていれば迷わない。 ３ 「現代世界の問題群が此の世に初めて姿を現した時」を「 ３ 世界の『創造の第一日』」と比喩して いることをつかむ。問題群はこの世界の根本的な危機性を示すものであったことからハを選ぶ。 問六 ロの文に「その『つなぎ方』」とあり、ハの文が「あたかも『帝国』の建設のように」と前文を比喩で説明する 形になっていることに注意。ロはぱっと見るとイの後に来そうであるが、ハがイを例えたものだと気づけばイ→ ハ→ロとつなぐことができる。そしてイの中に「その国をつなぎ合わせるのである」とあるところからニ→イ→ ハ→ロの順になることがわか