高付加似值生药生产拠点.PDF

地域再生計画 １ 地域再生計画の名称 薬用植物指導センター（高付加価値生薬生産拠点）整備計画 ２ 地域再生計画の作成主体の名称 富山県 ３ 地域再生計画の区域 富山県の全域 ４ 地域再生計画の目標 ４－１ 地方創生の実現における構造的な課題 薬用作物は、古来より漢方薬などの形で人々の健康のために活用されてきたが、 特に富山県においては、江戸時代に富山藩主前田正甫公が薬業を奨励して以来、 医薬品産業が主要産業の一つとなっており、多くの薬用作物を漢方薬等の原料と して活用してきた。 国内の漢方薬等の原料生薬は約８割を中国産に頼っている。中国産原料生薬の 価格は近年、急激に上昇しており、2006年に比べ、2008年に1.26倍、2010年に1.64 倍、2012年に1.91倍、2014年に2.44倍に達している（富山県内で多く栽培されて いるシャクヤクについては、同じく2014年に2.71倍）。この背景には、中国では、 ① 経済発展により中国国内での需要量が増加していること、② 乱獲により自生 の薬用作物が減少していること、③ 甘草等の一部の薬用作物に環境保全等を目 的に輸出制限を課していること等が原因とされている。今後も中国産生薬の価格 は上昇を続けることが予想される。また、国内メーカーは必要生薬の約８割を中 国産に頼る状況で、中国での自然災害、政情不安等のリスクから、安定供給の面 で不安の声が高く、原料生薬の国内栽培の推進が求められている。 一方、国産の生薬は、中国からの輸入生薬が高騰しているとはいえ、価格面で は依然として中国産に比して高く、不利となっている。薬用作物は、栽培や掘取 り等の収穫、洗浄・乾燥等の加工調製に多大な労力を必要とし、コストのかかる ものが多く、県内では、大半が手作業の小規模生産となっている。このため、栽 培・加工等に要するコストの低減に加え、安定した品質の確保や、薬効成分含有 量の向上などの高付加価値化が求められる。 付加価値の高い生薬を生産するためには、有効成分含量が高いシャクヤク等薬 用作物を選別し、その栽培技術（苗調製・植付・施肥・摘蕾・病害虫対策 ・収穫 1 等）、生薬生産技術（選別・貯蔵・洗浄・乾燥・検品・出荷等）を高めることが 必要である。現在、県内には薬用作物の技術研修を行うことのできる施設は整備 されておらず、効果的な研修を実施することができないという課題がある。 また、薬用作物については、他の農産物のように一般的な取引市場が存在しな いことから、生産者と実需者（生薬取引業者、製薬企業等）との契約栽培・直接 取引がなされている。現在、県内には薬用作物の洗浄・乾燥等を行う加工調製施 設が少なく、県内で薬用作物を生産しても、多くを県外に出荷していることから、 県内の販売先とのマッチングは困難となっている。このように、県内で薬用作物 の洗浄・乾燥等の加工を行えるようにするための体制整備・人材育成、販売先の マッチングが大きな課題となっている。 ４－２ 地方創生として目指す将来像 薬用植物指導センター（以下、「センター」という。）は、昭和 42 年に富山県 薬草園として設置され、薬用植物の栽培普及を図るため、薬用植物の栽培試験及 び栽培農家に対する支援を行うとともに、薬用植物の種苗の供給を行っている。 県では、付加価値の高い薬用植物の県内栽培を促進するため、平成 22 年度か ら富山シャクヤクのブランド化推進事業に取り組み、センターで栽培しているシ ャクヤクの中から62 品種を選び、成分分析や栽培試験等を行うことにより、薬 効、成分、栽培面等で優れた品種の選抜を進めてきた。現在、選抜されたブラン ドシャクヤクについて、有効成分の含有量、栽培条件、加工条件等詳細解析をし ている。 医薬品の原料として用いるために国内で多く栽培されている品種（梵天）は、 医薬品原料としての品質を決定付けるペオニフロリンの含有量が比較的低いこ とから、天候による変動等により単独で医薬品原料として用いることが難しくな る場合がある。センターで選抜した品種