切削抵抗-福井大学工学部机械工学科.PDF

超硬金型の直彫りによる一貫製造を 実現するための加工法開発 公益財団法人ＪＫＡ 平成29年度機械振興補助事業（研究補助） 成果報告概要 福井大学 学術研究院工学系部門 機械工学講座 材料加工研究室 准教授 岡田将人 研究概要 2/21 超硬合金製の切削工具表面にダイヤモンド製の薄膜をコーティングさせ たダイヤモンドコーテッド超硬工具を用いて，超硬合金を切削する直彫り 加工において，その切削特性を切削抵抗，工具刃先形態，仕上げ面性状か ら明らかにした． 評価は，断続切削であるエンドミル加工と連続切削であるドリル加工の 両者において実施した．加えて，直彫り加工により得られる仕上げ面品質 を抗折力試験により，定量的に明らかにした． 研究背景 3/21 超硬合金は高い機械的強度を有することから，精密冷間鍛造や打ち抜き などの負荷の大きな成形加工の金型材料として，今後，より重用されると 予想されている．しかしながら，超硬合金は，高い機械的強度を有するた めに金型形状への加工が困難であり，主に放電加工が用いられる場合が多 い．放電加工は，金型面としての仕上げ面粗さが劣り，なおかつ仕上げ面 上にマイクロクラックを含む加工変質層が生成されることが多い．そのた め，一般的に手作業による研磨処理によりこれらを除去し，最終的な金型 面を創成している．これらの金型製造プロセスでは，放電加工の専用機が 必要となること，作業者による手研磨品質の不安定化などが懸念され，よ り効率的な製造プロセスが求められている． 研究背景 4/21 一方，これらの対策の一つとして，切削工具により超硬合金を形状加工 する直彫り加工がある．既に多結晶ダイヤモンド（PCD）や窒化ホウ素 （cBN）などの材料を用いた切削工具による実用例が報告されているが， これらの工具は極めて高価であり，なおかつ取り扱いが難しいことから， 放電加工後の仕上げ工程への適用などに用途が限られており，前述した問 題への対策としては，十分な普及に至っていない． 研究目的 5/21 超硬合金製の切削工具表面にダイヤモンド製の薄膜を被覆したダイヤモ ンドコーテッド超硬工具による超硬合金の直彫り加工を実施する．ダイヤ モンドコーテッド超硬工具は，母材が超硬合金であるためPCDやcBN工具 よりも安価であり，ダイヤモンドコーティングの除膜技術が確立されれば， 母材再利用による，さらなるコストメリットも期待できる．既に生産現場 においては経験的に，極めて微小な工具送り条件下で実用的な工具寿命が 得られることが報告されている．また，より高い切削性能の発現のために 刃先を処理した刃先処理工具の開発も進んでいる．本研究では，これらの 工具を対象として切削加工中に刃先で生じている現象を明らかにし，基礎 的な切削特性を検討することともに，超硬合金直彫り加工への適用性を解 明することを目的とする． 実験装置 6/21 ＜装置外観＞ ＜加工部拡大＞ 高速スピンドル 工具