英离脱协议-第一生命保险.PDFVIP

1 / 5 発表日：2019 年２月21 日（木） 英離脱協議、今後を占う２月最終週 ～一気に決着か、協議期限延長か、総選挙に発展か～ 第一生命経済研究所 調査研究本部 経済調査部 主席エコノミスト 田中 理（℡：03-5221-4527） ◇ 英国では与党 ・保守党からもＥＵ残留派の３議員が離党し、野党 ・労働党の離党議員による無所 属グループに合流した。さらに４名の与党議員が離党すると、議会の過半数を確保することがで きなくなる。その場合、離脱協議をいったん棚上げし、解散 ・総選挙が必要となる。 ◇ メイ首相は親ＥＵ派の閣僚の大量辞任を回避するため、ＥＵとの間で北アイルランドのバックス トップ見直しでの合意を急いでいる。20日のメイ・ユンケル会談では継続協議を約束し、週末に バックストップの時限性を法的に保証する合意を交わす可能性が浮上している。 ◇ バックストップの撤回と技術活用による解決を主張する強硬離脱派が、英ＥＵ間の修正合意を受 け入れるかは不透明。穏健離脱派や野党議員の一部も含めて賛成に回れば、合意受け入れの是非 を問う二度目の下院採決が可決され、修正後の政府案に基づき英国はＥＵを離脱することになる。 ◇ 週末中にバックストップの見直しで合意できなかったり、二度目の下院採決が再び否決された場 合、27日に協議期限の延長を求める修正動議が可決される可能性が高く、政府は協議期限の延長 に舵を切ることになる。親ＥＵ派閣僚の辞任で期限延長が決まる場合、延長後に改めて必要な合 意受け入れの是非を問う下院採決で賛成多数に持ち込むことが難しくなる。 19 日付けレポート「英政界再編、離脱協議への影響は？」で可能性を指摘した通り、英国では野 党・労働党を離党した議員７名が旗揚げした親ＥＵ中道路線の無所属グループに、労働党から新た に１名と与党・保守党から３名が合流した。これで同グループの所属議員は11名となり、リベラル 政党・自由民主党に並ぶ勢力となる（図表１）。下院議長を除く保守党議員は314名、閣外協力する 北アイルランドのユニオニスト政党・民主統一党（ＤＵＰ）の10名を加えても、定数650の下院の過 半数 （325）に届かないが、女王陛下への宣誓を拒否して登院しない北アイルランドのナショナリス ト政党・シンフェイン党の７名、一般に投票しない正副議長４名（保守党２名、労働党２名）、欠 員１名を除くと、与党と閣外協力する議員が323名 （314-1+10）と、投票総数（650-7-4-1=638）の 過半数（319）を辛うじて上回っている。 ただ、今後保守党から新たな離党者が出てくるようだと、離脱に必要な合意受け入れの是非を問 う下院採決（meaningful vote）を乗り切ることが難しくなるばかりか、議会の安定過半数の確保が できなくなる。その場合、離党した与党議員がその後の内閣信任投票や個別法案で政府を支持しな い限り、議会の前倒し解散 ・総選挙が必要となる。そうなれば、協議期限の延長を要請し、離脱協 EU Trends ／ マクロ経済分析レポート 2 / 5 議はひとまず棚上げされることになる。議会任期満了時の次期総選挙に保守党党首として出馬しな い意向を以前に示唆したメイ首相が、前倒し選挙時に与党党首 （≒首相）を続投するのかは分から ない。仮にメイ首相が党首の座から降り、後継党首 （≒首相）に強硬離脱派が就く場合、選挙後に 再開される離脱協議への不安が高まろう。 （図表１）英国下院の議会構成 現有議席 備考 保守党