皮肤腐食性刺激性.docVIP

H17.12.6版 ＧＨＳによる健康有害性分類にかかる技術上の指針 ～　皮膚腐食性?刺激性　編　～ 　本技術上の指針は、GHS国内実施に向けた基盤整備として国が実施する約1500物質の分類に際し、その分類実施者の手引きとして作成したものである。また、限られた時間内に限られたリソースで暫定的な作業を実施することを前提としたものである。すなわち、有害性情報の検索を一定のレビュー文書に限って実施するとしていること、分類の基準となる数値が得られず定性的な記載しか情報がない場合に暫定的な手法を提示していること、本来専門家による証拠の重みづけの検討を経て分類の判断をすべき場合に専門家にたよらない便法を提示していることなどが含まれている。したがって、GHSに準拠した分類を行う場合に遵守すべき一般的な原則を示したものではない点に注意が必要である。 皮膚腐食性については、ＧＨＳに明確な判定基準があり、GHSの判定理論3.2.1のフローに従って分類すること。なお、その際、以下に既存の試験データによる判定方法など技術的助言を記載するので参照すること。 また、腐食性の細区分については、ＧＨＳの腐食性の判定（ＧＨＳ表３．２．１）を適用できるような暴露時間と観察期間をもうけた動物試験が実施されたときのみ分類することができる。よって、そのような場合のみ、細区分を行い、それ以外の場合は、細区分を行わない。 （留意事項） ※1　 EU Risk phraseのみで、分類の根拠となる情報が他に入手できない場合は、「分類できない」とする。 ※2　混合物のデータしかないものについては、混合物そのものの分類を行い、「根拠」にその旨を記載する。 ※３　「区分外」の取扱いについて、Priority１において明確に有害性を否定する、又は有害性が極めて低いと記述している場合をのぞき、「区分外」の判定は慎重に行うこと。疑義があれば、むしろ判断を行うに十分な情報が無く「分類できない」としたほうが望ましい。 ※４　細区分できない場合は、「モデルＧＨＳ分類」には「１A―１C」と記載すること １．信頼できる既存の暴露経験による判定： 　　ヒトあるいは動物での結果で腐食性（区分1Ａ－１Ｃ）あるいは刺激性（区分２）と判断できる事例がある場合は、そのように分類すること（例：事故事例や非GLP試験結果など） ＧＨＳ 3.2.1定義（抜粋） ＧＨＳ 3.2.1定義（抜粋） 皮膚腐食性とは、皮膚に対する不可逆的な損傷を生じさせることである。即ち、試験物質の４時間以内の適用で、表皮を貫通して真皮に至る明らかに認められる壊死である。 皮膚刺激性とは、試験物質の４時間以内の適用で、皮膚に対する可逆的な損傷を生じさせることである。 ２．既存の試験データによる判定： ２-1）in vivoの試験結果による判定： 腐食性：（区分1Ａ、１Ｂ、１Ｃのいずれか、又は区分1Ａ－１Ｃ） ４時間以内の暴露で試験動物３匹中１匹以上に 真皮に至る壊死 処置部の潰瘍(ulcer)、出血(bleeding)、出血性痂皮(bloody scabs) １４日間の観察期間終了時に皮膚の脱色(blanching of the skin)、処置部全域の脱毛(complete areas of alopecia)、及び瘢痕(scars)が残留、が認められる場合。 紅斑?痂皮スコアあるいは浮腫スコアが４以上の場合は腐食性（区分1Ａ－１Ｃ）と判定（但し、非可逆的病変が観察されない場合は刺激性（区分2）と判定）。 刺激性：（区分2） 処置後24, 48, および72時間において 試験動物３匹中２匹以上で紅斑/痂皮または浮腫のDraize Score平均スコア値（個体毎の）が≧2.3 — ＜4.0 処置１４日後で２匹以上の動物で炎症や限局された脱毛(alopacia, limited area)、過角化症(hyperkeartosis)、過形成(hyperplasia)、落屑(scaling)が残る 一匹の動物で明確な陽性反応が認められるが、程度が上記1)、2)の基準を満たすほどの所見では無い場合（個体差が大きい場合で、3匹中１匹のみではあるが、観察期間終了時においても明確に病変が認められるような場合）。 軽度刺激性：（区分３） 処置後24, 48, および72時間において 1) 試験動物３匹中２匹以上で紅斑/痂皮または浮腫のDraize Score平均スコア値（個体毎の）が≧1.5 — ＜2.3 ２-２) 既存の分類との比較による判定： SevereあるいはCorrosiveと分類された物質は腐食性（区分1Ａ－１Ｃ）と判定（但し、Severeについて、非可逆的病変が観察されない場合は刺激性（区分2）と判定） Moderateと分類された物質は刺激