四国地域活性化研究会.docVIP

　　　　　　　　　　第３回　四国地域活性化研究会　出席者発言要旨 １．地域活性化とは何か。活性化、豊かさの評価基準?指標について 香川大学大学院　柴田教授からの報告　 　私は、地域をみる視点としては、上から見下ろす地域と、下から見上げる地域の二つがあると考えている。上から見下ろす地域というのは、他の地域と比較しつつ財政がどうなっているか、人口流動がどうなっているか等、鳥瞰図的な視点からみる地域、また、下から見上げる地域というのは、地域の現場で実際に活動している企業やNPOなどの組織の中身がどうなっているのかとの視点からみる地域である。 　本日の報告は、下から見上げる地域ということで話題提供するが、ポイントは２つ あると思う。一つは、四国で活動している元気な企業、特に製造業では物づくりの企業マネジメントに果たして共通の要因はあるのか。もしあるとすればそれは東京、大阪などの大都市型の企業と何がどう違うのかということ。二つ目は、「地域コミットメント」という概念の発見である。　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　 ○　　共通要因という課題に対しては、特定製品分野で高いシェアを占めている四国の企業に対して、半年間にわたり探索的な非構造化インタビュ－を実施し、３つのポイントを抽出した。 ●　経営スタイルはトップダウン型のオーナー型であること。 ●　市場プルではなく、テクロノジープッシュという技術戦略をとっていること。　 　　●　地域に足を着けた社会貢献活動にかなり積極的に取り組んでいること。 　これら３つの要因は補完的関係にあると同時に、地域で活躍する企業であるための合理的な３要因として理解することができる。これらの要因によって、株主重視のガバナンスとはまた別の、独自の経営スタイルを形成しているというのが四国のイノベーション企業ではないだろうか。　　 　この探索的インタビューからは、２つの新たな問いが生まれた。まず第一は、地域で活動することのメリット、デメリットに関する根本的な問いである。四国に存在しているが故に、四国のトップクラスの人が入ってくれるということが事実としてあるなかで、地域では優れた人材が採用できないという偏見や誤解があるのではないかという点があるが、一方で従業員の高い定着率、これは特に製造業において技術の伝承とういう点でかなり優位に働いているのではないかということである。 　２点目は、郷土愛や地域愛の果たす役割とは何か、ということであるが、これをどうやって測定できるかという問題である。 　この郷土愛というものは、そのままの形では学術対象になりにくいことから、組織論において確立された概念として認知されている「組織コミットメント」の概念を借用し、「地域コミットメント概念」の妥当性と有効性を試みた。 　組織コミットメントというのは、従業員と組織との関係性を規定するような概念であり、自分が組織にどれだけ愛着をもっているか、自分が組織とどれくらい一体化しているかを考えるための概念であるが、その概念が地域に適用可能かどうかと考えた。 　組織コミットメントは、①情動的なコミットメント、②滞留的なコミットメント、③規範的なコミットメント　という３つの次元で図られるのが定説になっている。　 　情動的コミットメントとは、組織に対してどれくらいの愛着や一体感を持っているかという感情的愛着。 　滞留的コミットメントとは、組織を去ると損をするということで、必要上、組織に留まっているという理性的な判断。 　　　●　　規範的コミットメントとは、組織に対する義務感、使命感、忠誠心といったもの。 　地域に対する愛着みたいなものを測るために、３次元の組織コミットメントモデルを地域コミットメント用に修正して、昨年の１１月から今年の１月にかけて、四国の企業８０社の従業員1,620名にアンケート調査を実施（回収率：13.9％）し、地域コミットメント概念の有効性や、従業員の地域コミットメントと職務満足、業績、組織コミットメントとの関係などを現在分析中であるが、調査結果の概要は以下のとおり。 　地域コミットメントに関する因子分析を行った結果、３つの因子（第１因子：地域愛、第２因子：地域満足、第３因子：地域への恩義）に集約されるということが分かった。 　地域愛と地域満足の関係については、「私はこの会社に満足しいている」との質問をし、「それに当てはまる」と答えた人は、地域愛が高くなっているのに対し、「当てはまらない」と答えた人は、地域愛がマイナスに出ており、かなりの優位差というものが出た。 　従業員の親の出身地と出身大学を、四国内と四国外に分け、地域愛と地域満足の関係をみると、親が四国に居るかいないかでは、地域愛にはあまり差はみ