日本近代文学史講義.pptVIP

特質： ○経験的事実と自己告白のものが多い ○人間の醜い面だけに限られる狭さがみられる。 代表作家：島崎藤村の『破戒』（明39）、田山花袋の『蒲団』（明40）、国木田独歩、徳田秋声、正宗白鳥、岩野泡鳴など * 島崎藤村　（しまざき　とうそん） 代表作品： 　 ○ 『破戒』（明39）被差別部落民出身者である青年教師が父の戒めを破って出生の秘密を告白する、自我の覚醒を描く記念作。 　 ○他に『春』 、『家』 、 『新生』及び『若菜集』 、『夏草』など 特質： 　抑圧された生命が解放を求めて苦しむ姿であり，つねに自己の内部を凝視し、自我を圧迫するものに対する執拗な抵抗力である。 * 田山花袋（たやま　かたい） 代表作品： ○ 『蒲団』（明40）女弟子との愛を綴った告白小説。 ○ 『田舎教師』（明42）才能を持ちながらも貧困のために挫折してゆく青年の姿を描いた作品。 特質： ○主観を加えず客観の内部にも立ち入らず、ただありのままに現象を描くという「平面描写」の手法で自然主義を定着させた。 * 国木田独歩（くにきだどっぽ） 代表作： 『武蔵野』（明31）） 『牛肉と馬鈴薯』（明34）『春の鳥』（明37）などある。 特質： ○英国の田園詩人ワーズワースの影響により浪漫主義的作品。 ○その後、運命の悲哀、人生の悲惨を描く作品を著し、自然主義的となる。 * ６．反自然主義文学（明治40年代～大正年間） 背景：自然主義の平板?狭隘な人間描写に対する反動運動。 内容：明治40年代に創刊された「スバル」「白樺」「三田文学」「新思潮」の同人たちは、互いに交流し、「パンの会」という交歓の場などを持ち、自然主義が見失った、「美」と「個性」との精一杯の発見を謳いあげた。 * ○初めて自然主義とは異なる立場にあって、主知的?倫理的立場をもったのは森鴎外や夏目漱石で、所謂「余裕派?高踏派」。 ○それから美を最高のものとする芸術至上主義の立場を取る「耽美派」。 ○理想主義、人道主義を唱える「白樺派」。 ○現実を理知的にとらえ、技巧的に表現する「新思潮派」。 * ６．１．余裕派（高踏派） 内容： 　自然主義に対して、主知的?倫理的立場から超然的態度で処した。 代表作家： 森鴎外、夏目漱石 　　　　 * 夏目漱石（なつめ　そうせき） 愛とエゴイズムを通して人間存在を追求した文豪。 作品： 『吾輩は猫である』（明38～39）写生文的文壇処女作。 『坊ちゃん』（明39）『草枕』（明39） * 前期三部作： ○「三四郎」（明41）「無意識の偽善」をめぐる青春小説。 ○「それから」（明42） ○「門」(明44)エゴイズムからの救いを宗教に求める。 後期三部作： ○「彼岸過迄」（明45） ○「行人」（大2） ○「こころ」（大3）「先生」という孤独な知識人の内面を描きつつ、「明治の精神」に殉死する結末を持つ秀作。 * 　森鴎外　（もり　おうがい） ○官僚（軍医）と作家の両立を果たした大文豪 ○明治20年代、ドイツ留学体験を生かし、浪漫主義運（小説?翻訳?評論）を展開し、指導的立場に立つ。 ○大正年代、「現代小説」から「歴史小説」へと転換した。 作品： 　　　 ○前期　『舞姫』（明23） 『うたかたの記』 　 『文づかい』 。 　　　 ○後期　『阿部一族』（大２）　『山椒大夫』（大４）　『高瀬舟』（大５） * ６．２．耽美派（たんびは） 内容： 　　美を最高のものとする芸術至上主義。精神よりの感覚、内容よりも技巧、写実よりも虚構を重視した。 代表作家：永井荷風は耽美派の作家の中心となり、荷風に支持された谷崎潤一郎は、独自の官能的美の世界を構築して、耽美派の代表作家となった。 * 永井荷風 （ながい　かふう）　 特質： ○ゾラの影響による自然主義の小説家として出発。 ○欧米から帰国後は、その留学体験を生かし、耽美派作家として名を成した。 ○ 「三田文学」を森鴎外の援助により主宰、耽美派の闘将となる。 作品：『あめりか物語』（明41） 　　　　『ふらんす物語』（明42） 　　　　『腕くらべ』（大5） 　　　 * 谷崎潤一郎　（たにざき　じゅんいちろう） 特質 ○性の追求、母性憧憬、女性崇拝を創作のモチーフとした ○性倒錯による退廃美を好み、悪魔主義作家。 ○その後、古典回帰や、女性美の追求に異彩を放つ。明治?大正?昭和の三代を第一線で活躍。 作品：『刺青』（明43）『痴人の愛』（大13） 　　　　『蓼食う虫』（昭４）『春琴抄』（昭8） 　　　　『細雪』（昭18～23） * ６．３．白樺派（しらかばは） 内容： 　個性の尊重、善の追求を基調とする理想主義、人道主義の文学を主張した。雑誌「白樺」（明43）の創刊に参集した人々によって推進された。