京都大学吉田地区における関西地震観測研究協議会強震観測点の相対サイト特性.pdfVIP

京都大学防災研究所年報 第 53 号 B 平成 22 年 6 月 Annuals of Disas. Prev. Res. Inst., Kyoto Univ., No. 53 B, 2010 京都大学吉田地区における関西地震観測研究協議会強震観測点の相対 サイト特性 * ** 加藤 護 ・茂泉 優 ・岩田知孝 * 京都大学大学院人間・環境学研究科 ** 京都大学総合人間学部 要 旨 関西地震観測協議会の京都大学内２観測点における相対的なサイト特性を求めた。両観 測点で共通に観測された70個の地震の波形記録を用いてスペクトルを求めその比を相対 的なサイト特性とみなした。KYU観測点（工学部）に比べ，IHS観測点（総合人間学部） では高周波成分の減衰が顕著であることが確認された。両観測点における微動観測を行っ た結果と比較すると，この差異は地盤に起因するものではなく，観測点が置かれた建物の 影響（入力損失）によるものと考えられる。 キーワード: 強震動，サイト特性，関西地震観測研究協議会 1. はじめに 録はサイト特性の影響を強く受けることが知られて いる。KYU観測点のサイト特性は鶴来ら(2002) にお 大学は昼間人口が多く建物密度が高いことなどか いて，岩盤サイトを基準としたものが求められてい ら，都市型の地震災害に対して脆弱な環境と考えら る一方，IHS観測点については既往の研究例はない。 れる。京都大学本部キャンパスのある左京区吉田は これらを踏まえ，本研究ではCEORKA のKYU観測 木造住宅密集地でもあることから，この地域総体の 点とIHS観測点の観測波形記録を比較検討し，S波に 地震災害の危険度は高いと考えられる。また，この ついて２観測点間の相対的なサイト特性（相対サイ 地域は京都盆地の東端に位置し，吉田山や花折断層 ト特性）を求めることを試みた。また，観測点周辺 など地形や地下構造の複雑さが知られている。この における臨時微動観測を行い，得られた相対サイト ような地域において強震動特性を知ることは都市域 特性の解釈を行った。 における地震災害の軽減を考える上でも重要である。 関西地震観測研究協議会（CEORKA）では京都大 2. データと手法 学吉田地区に２つの強震観測点を設置している。こ のうちKYU