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九州大学応用力学研究所技術職員技術レポート　vol.13, 11 ～ 17, 2012 年３月 孤立波の波速計測について 油布 圭 要旨 当研究所東アジア大気海洋環境研究センターには、沿岸・陸棚域海洋環境実験水槽という平面水槽がある。 この水槽を利用した孤立波の相互作用に関する研究が、非線形力学分野の辻英一助教により、計画・実施さ れている。この度、この研究を支援することになった。この研究は、2 台のピストン式造波装置を用いて 2 つの孤立波を発生させ、その相互作用を計測するものである。この孤立波は、垂直に立てた造波板を水平に 動かすことで発生させる。 今回、実験波（孤立波）を決めるために、造波板の動か し方や水深を変化させた種々のテストを行った。 孤立波とは進行波と異なる性質を持った波であり、進行方向に多少の障害物が存在しても、あたかも障害物 がないかのように通過するといった特徴を有している。この孤立波の波速は何で決まるのか？ということに 興味を持ったので、実験の合間に波速の計測を試みた。ここに波速の計測方法と、波速の求め方について述 べる。この計測は、辻英一助教の実験装置を殆どそのまま利用させてもらった。よって、このレポートの前 半は辻助教の実験装置構成の紹介も兼ねる。 キーワー ド：孤立波・波高計・波速 １. 装置構成 - １. 平面水槽 １ 実験に使用した水槽は、長さ約 10 m、幅約 3.6 m、高さ約 1.3 m の大きさで、送風装置（風洞）、造波装 置付きの水槽である。しかし、この付属のプランジャー式造波装置では、実験に耐えうる孤立波は、発生 できない。それでこの実験には、孤立波発生専用のピストン式造波装置を設置して実験を行っている。 そのためこの実験は、プランジャー式の造波装置や風洞装置が取り付けられている 3 m 部分を差し引い た長さ約 7 m の領域を使用している。また、水槽には孤立波の実験用に、アルミ構造材（SUS 株式会社製： SF-45 ・45、SF-k ・45 ・45、SF-45 ・90、SF-90 ・180）で足場を兼ねた計測フレームが組まれている。この 計測フレームは、造波装置、波高計センサーの固定や作業用足場として利用している。その平面水槽の実 験風景を写真 1 に示す。 写真 1. 実験中の平面水槽 （波高計センサーの位置） －11－ 油　布　　　圭 - ２. 造波装置 １ 孤立波用のピストン式造波装置は、水槽側面に直角に 2 台を隣接して、水槽全幅になるように設置して いる。この装置は、垂直に立てた造波板を水平に移動することで孤立波を発生させる。 このピストン式造波装置のフレームは、アルミ構造材（SUS 株式会社製）で組み立てている。また、駆 動部には AC サーボモーターを、摺動部等にはＮＳＫ製のリニアガイド材を使用している。ここにアルミ 構造材を使用したことで、いろいろな場面に対応できる構造としている。 レーザー距離計 サーボモーター 造波板 造波板 写真 2. 孤立波造波装置を斜め上方から見た様子 写真 3. 孤立波造波装置を横から見た様子 写真 2 に、ピストン式造波装置の 1 台を前方から見たところを示す。また、写真 3 に、レーザー距離計 を使用した、造波板の変位検出の状態を示す。この装置は以後に述べる PC 制御時の指令－動作の確認の ためのものである。 この装置の制御は、PC （パソコン）指令としている。この実験に適した孤立波発生には、双曲線