超音速ジェット気流を利用した新規湿式分散装置によるナノ.pdfVIP

超音速ジェット気流を利用した新規湿式分散装置によるナノ粒子の分散 *1 *2 *3 *4 *4 牧野 晃久 周善寺 清隆 波多 英寛 森光 孝典 加藤 隆司 Dispersion of Nanoparticles by Novel Wet-type Pulverizer Utilized Supersonic Jet Flow Teruhisa Makino, Kiyotaka Shuzenji, Hidehiro Hata, Takanori Morimitsu and Takashi Kato 超音速ジェット気流を利用した新規湿式分散装置 （超音速湿式ジェットミル：SSJM）によりチタン酸バリウム ナノ粒子 （BT-NP）の分散を行い，分散に及ぼすエア圧力と処理回数の影響を評価した。過剰なエネルギー（エア 圧力や処理回数）が投入されると，BT-NP は過粉砕され再凝集した。最適化条件では，ほとんどの BT-NP が一次粒 子分散したスラリーが得られた。 1 はじめに のノズルに供給されたスラリーはノズル内の断熱膨張 ナノ粒子は電子材料や二次電池材料，触媒など多く により液滴化するとともに超音速にまで加速され，衝 の分野でニーズが高まっている。ナノ粒子の特性を活 突板に衝突することにより分散する。ほとんどのスラ かすためには，スラリー中のナノ粒子の分散，凝集挙 リーは下部の処理タンクに回収されるが，一部はジェ 動をコントロールすることが重要となる。しかしなが ット気流とともに排出されるため，溶媒回収タンクに らナノ粒子は，ミクロンサイズの粒子に比べてより容 より回収できる機構となっている。 易に，より強固に凝集しやすく，凝集したナノ粒子は 本研究では表1に示す2種類のBT-NPスラリーの分散 容易に分離できないといった特徴がある。それゆえ， を行った。分散テストはスラリー組成，スラリー供給 ナノ粒子を完全に分散させることは極めて困難であり， 速度，エア圧力，衝突回数を種々変更して行った。 ナノ粒子を産業応用する上でナノ粒子のハンドリング ジェットミル処理したスラリーの凝集状態は動的光 が一つの重要な基礎技術となっている。 散乱法による粒度分布測定と走査電子顕微鏡による形 これまでに，ビーズミルや高圧ジェットミルにより 態観察により評価した。BT-NPの誘電率はインピーダ ナノ粒子が一次粒子分散した例が報告されているが， ンスアナライザにより測定した。 筆者らは新たな分散手法として超音速ジェット気流を 利用した湿式分散機 （超音速湿式ジェットミル： SSJM）を開発した。本研究ではSSJMを用いてチタン酸 バリウムナノ粒子 （BT-NP）の分散テストを行い， SSJMを利用した場合のナノ粒子分散に与えるエア圧力 と処理回数の影響を評価した。 2 実験方法 図1はSSJMの装置概要図（左）とノズル断面図をノ 図1 SSJM 装置概要図（左）とノズル断面図（右） ズル内の圧力，速度，温度の挙動と併せて示したもの （右）である。圧縮空気がノズル上部から供給され， 表1 BT-NPスラリー組成 ノズル内部で超音速にまで加速される。空気は加速と BT-NP 一次粒径 溶媒 分散剤 同時に断熱膨張により冷却されるため，分散に伴う発 合成法 熱がないことが本装置の大きな特長の一つである。こ ゾルゲル 30 nm *EGMME なし 水熱 100 nm 水 **PAA-NH4+ *1 化学繊維