耳鼻咽喉科領域感染症に対するTA-058 の臨床治験成績.pdfVIP

VOL.32S-2 CHEMOTHERAPY 771 耳鼻咽喉科領域感染症に対す るTA-058の臨床治験成績 関谷 忠雄 ・長安 満弥 ・宮川 公文・長谷川寿珠 国立名古屋病院耳鼻咽喉科 TA-058を耳鼻咽喉科領域感染症の10症例 急〔性篇桃炎(扁桃周囲膿瘍 を含む)5例,慢 性化膿 性中耳炎(急性増悪 を含む)2例,耳 介蜂窩織炎1例,先 天性耳瘻孔化膿1例,急 性化膿性 甲状腺 炎兼咽喉頭蜂窩織炎1例 〕に1日量29を5日 間静脈内投与 した。 その臨床効果 を検討 した結果, 著効2例,有 効6例,や や有効1例,無 効1例 であった。全症例 に対する本剤の有効率は80%の成 績が得 られた。 本剤は,副作用については特に認むべきものを見ず,グ ラム陽性 。陰性菌に対 し殺菌的に働 き, 優れた治療効果が期待できる有用な薬剤 であることが示唆 された。 疾患名および疾患別症例数は下記のようである。 は じめ に 急性扁桃炎(扁桃周囲膿瘍を含む)5例 耳鼻咽喉科領域においても中耳炎,篇桃炎 を始 め抗生 慢性化膿性中耳炎(急性増悪を含む)2例 剤の投与を必要 とす る感染症は多いが,その起炎菌 はグ 耳介蜂窩織炎1例 ラム陽性菌の他 に陰性菌も増加 し,また従来の抗生剤に 先天性耳瘻孔化膿1例 対する耐性菌の問題 もあるので,よ り強力且つ広範囲ス 急性化膿性甲状腺炎兼咽喉頭蜂窩織炎1例 ペク トルを有す る抗生剤 の出現が望まれ る。 計10例 TA-058は田辺製薬株式会社の研究所において開発 さ II投与方 法 れ,Fig.1に示すよ うな化学構造 を有す る,側鎖 にア ミ ノ酸残基を導入 したユニー クな構造 の新規半合成ペニシ TA-058の29を1日量 とし,oneshotまたは点滴 リン剤であり,グラム陽性菌および グラム陰性菌に対 し 静注で2回 に分注 し,5日間投与で効果 を判定 した。溶 解液は20%(oneshot)または5%(点 滴静注)の 糖 液,注 射用蒸留水または補液 を使用 し,なるべ く緩除に 注射 した。 注射に当っては予め皮内テス トを行 って陰性者のみに 注射 し,他の抗生剤や消炎剤,酵 素剤,解 熱鎮痛剤な ど の併用を避けた。 III効果の判定 て広い抗菌スペ ク トルを有 し,特に,E.cali,S.typhi, 投与開始前に膿汁 を採取 し得なかった症例 を除き可及 S,flexneri,P.mirabilis,H.iinfluenzaeなどには優れ 的に菌 を分離同定す るとともに重症度 は軽症例 を除外 し た抗菌力 を示す といわれておりN),われわれは 本剤を て重症 中等症 に分けた心投与開始後 は自 ・他覚的炎症 臨床的に2,3の