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強相関物性研究グループ スタッフ 教授 守友 浩 (moritomo@sakura.cc.tsukuba.ac.jp) 助手 上岡隼人 (kamioka@sakura.cc.tsukuba.ac.jp) 所属学生と研究テーマ M1 高橋佳宏 B4 柴田恭幸 「ナノサイズ錯体の作成・評価」 中田文也 「ナノ秒時間分解分光による光誘起相転移の探索」 高橋良幸 「電荷移動錯体における動的相転移の探索」 居室・実験室 B607 居室 教授 B205 居室 助手＋学生 E305 実験室（物質合成と評価） E104 実験室（基礎物性と相制御） 学外 第三世代放射光施設 SPring-8、等 物性実験 III (授業) グループで物性実験のテーマ「X 線粉末回折」を運営しています。 ■ 本研究室を目指す学生へ ■ 本研究室では、強相関物質系を中心に「光や圧力による物質の相制御」の研究を 行い、その方向の学問分野の形成を目標としています。特に、光による相制御は実 用上も重要な意味を持っています。例えば、大容量光記録デバイスである DVD－ RAM では、Ge Sb Te の光照射による可逆的なアモルファス結晶変態に伴う反 2 2 5 射率の変化を利用しています。その応答速度 （書き込み速度）は数 10ns と早いので すが、なぜ早いかはよく分かっていません。こうした現象を調べる強力なツールの一 つに第三世代放射光 X 線があります。第三世代放射光 X 線の高輝度性/パルス性を 高度利用すれば、圧力下での構造解析/時間分解構造解析が可能になります。本研 究室では、こういった方向の研究開発プロジェクトも推進しています。 本研究室は、2005 年 6 月にできました。実験室の立ち上げが終わり、実験データー が出始めたところです。国際レベルの研究を行うために、最先端の装置を導入し、研 究環境の充実に努めています。昨年度は、フェムト秒レーザーとこれを収めるレーザ ーブースを導入しました。今年度は、フェムト秒レーザー用再生増幅器、浮遊帯域溶 融炉、ＣＣＤ付き分光器、クライオスタット、マルチチャンネルロックインアンプ、等を導 入します。また、Ｘ線回折装置、ＳＱＵＩＤ（磁化測定装置）、ＰＰＭＳ（物性測定装置）、 各種圧力装置、FTIR(赤外分光装置)ほか各種分光システム、等があります。こうした 研究環境で、修士課程・博士課程での高度な研究者教育を受け、研究者/技術者とし ての道を希望する学生を求めます。 強相関物質とは 強相関物質とは、「電子間の相互作用が物性 に大きな影響を及ぼしている物質群 の総称」です。固体中の電子は、原子核が作る周期的なポテンシャルの中を運動して います。電子は負の電荷を持っているので互いを避けながら運動しようとします。こう した電子反発は、時には、特異な固体相を形成します。今、原子軌道あたり一個の電 子がいる物質を考えましょう。この系は、原子軌道が作るバンドの半分まで電子を収 容しているので、half-filled と呼びます。通常は、こうした物質（例えば、Li や Na）は金 属です。しかしながら、遷移金属酸化物のｄ軌道や有機錯体化合物の分子軌道では、 電子間反発が重要になります。そのため、多くの遷移金属酸化物や有機錯体化合物 は、half-fillled にも関わらず絶縁体のままです。こうした絶縁体を Mott 絶縁体と呼び ます。さらに、電子は結晶格子や局在スピンといった他の自由度とも強く相互作用し、 電荷整列絶縁体相、軌道整列相、強磁性金属相、中性相、イオン性相、といった様々 な物質相を形成します。 こうした物質相は、複数の相互作用の間の微妙なバランスの上に成り立っています。 したがって、圧力・磁場印加や光励起といった外からの摂動に対して、巨大な物性応 答を起こすだけでなく、まったく別の相へ相転移してしまう可能性があります。私たち は、実験的な手法により、強相関物質の持つ巨大物性応答や相不安定性を探索/開 拓するとともに、その裏に隠れている物理を解明することを目的にしています。こうし た研究は、物性研究としてだけでなく、応用を視野に入れても重要であると考えてい ます。