洪水時に道路トラス橋梁に作用する流体力に関する研究.pdfVIP

水工学論文集,第52巻,2008年2月 洪水時に道路トラス橋梁に作用する 流体力に関する研究 FLUID FORCES ACTING ON TRUSS BRIDGES ON ROADS DUE TO FLOODS 1 2 3 石野和男 ・渡邉亮史 ・玉井信行 Kazuo ISHINO, Ryoji WATANABE, Nobuyuki and TAMAI 1正会員 工博 大成建設㈱技術センター 主席研究員（〒245-0051 横浜市戸塚区名瀬町344-1） 2正会員 タスク㈱ 研究員（〒231-0058 横浜市中区弥生町2-15-1） 3 フェロー会員 工博 金沢学院大学大学院 教授 （〒920-1392 金沢市末町10） Bridges in upstream reaches of rivers have collapsed during floods in Japan. The authors investigated the field conditions of the collapsed truss bridges on the Mimi river and examined the causes of collapse of supports for girders of truss bridges by hydraulic model experiments. Fluid dynamic force exerted on girders of truss bridges is clarified. Key Words : fluid forces, truss bridge, flood disaster, experiment, field investigation １．はじめに 2005年9月に宮崎の耳川で発生した道路橋梁被害では， 下流の冠橋から上流の山瀬橋の41.2 ｋｍ間に架かる6橋 洪水により谷底河川の橋梁が倒壊することがある. の道路トラス橋の内，小原橋，小布所橋の2橋が倒壊し 著者らは，2004年7月に福井の足羽川で発生した越美 た.表-1に，各橋の諸元の比較表を示す.本論文では道路 北線の鉄道橋梁1)，2005年9月に宮崎の五ヶ瀬川で発生 トラス橋を対象にしているので，流体力が作用する部分 2) としては道路床版を載せる桁部分を念頭において議論を した高千穂線の鉄道橋梁，同耳川で発生した道路橋梁 2 等の倒壊状況を調査し，その原因究明を検討している. 進める.表-1において，流体力に比例する値である（Ｖ ここで，これらの倒壊原因のほとんどは，桁に流体力 ×橋長×桁高）と，支承の耐力を比較すると，流出した が作用し，それにより，無筋橋脚が倒壊，または，支承 小原橋，小布所橋の2橋の（Ｖ2 ×橋長×桁高／支承耐 が破壊し流出したものである.これらの倒壊原因を詳細 力）は，未流出の他橋梁のそれに比べて大きく，流出を に検討するためには，桁に作用した流体力を評価する必 裏付ける結果を得た. ここで，Ｖは，公表されている被 要がある.しかし，地震時の横加重に比して，流体力は