臨床分離株に対するCefozopran の抗菌活性.pdfVIP

VOL.41S-4 臨床分離株 に対す るcefozopranの抗菌活性 29 臨床分離株 に対 す るcefozopranの抗菌活性 出 口 浩 一 ・横 田のぞみ ・古 口 昌美 ・鈴木 由美子 ・鈴木 香 苗 深山 成美 ・石原 理加 東京総合臨床検査センター研究部率 1990年に分離 した臨床分離株 の多剤耐性株 を対象 に して,cefozopranの抗菌活性 を検討す ることを目的に他 の β-ラ クタム系薬剤 な どを加 えてMICを 測定す る と共 に,cefozopranの 寒天平板希釈法 と微量液体希釈法で得 られたMIC値 の相 関をま とめて,以 下の結論 を得 た。 1) 臨床分離多剤 耐性株 を対象 としたcefozopranの抗菌活性 に関 す る結果 か ら,cefozo- pranはブ ドウ球菌 を含 む グラム陽性菌 に対す る抗菌力 の増強 と,抗緑膿 菌作用 を示すバ ランス の とれた抗菌スペ ク トル が,「新規 のセ フェム」としての特徴 の一つ と考 え られた。 2)Cefozopranの示す抗菌活性 は,methicillin-resistantStaphylococcus aureusには弱い も のの,benzylpenicillin-insensitiveStreptococcuspneumoniaeには既存 のセ フェム系薬剤 に比 較 して強 い こと,さ らにPseudomonas aeruginosaにはceftazidime(CAZ)と同等 であること が認 め られた。 3) P.aeruginosaの多剤耐 性株,な かで もニュー キノロン高度耐性株 な どには,cefozopran はCAZと 同様 にMIC値 が上昇 し得 ることが示唆 された。 4) Cefozopranの寒天平板希釈法 と微量液体希釈法で測定 したMIC値 は,感 性域 において は両者 の値 はほほ相 関す るものの,耐 性域 においては微 量液体希釈法 に よるMICが 高い値 を 示 した。 Keywords:cefozopran,多剤耐性菌,MRSA,PISP,IPM耐性菌,ニ ュー キノロン耐性菌 Cefozopranは,武田薬 品工業株式会社中央研究所が開発 Saureus30株*;,Coagulase-negativestaphylococci したセフェム系抗生物質である。 (CNS)30株*2,S.pueumoniae25株*3,Enterococcus Cefozopranは,Staphylococcusaureusを含む グラム陽 faecalis25株*4,Haemophilusinfiuenzae30株*5, 性菌,お よびPseudomomasaemginosaを含 むグラム陰性 MomellasubgenusBranhamellacatarrhalis30株*6, 菌にバランスの とれた幅広い抗菌スペ ク トルを示すほか, P.aeraginosa50株*7,合 計220株 。 各種細菌が産生す る β-ラクタマーゼに安定である1,2)。 *1. methicillinのMIC値≧6.25μg/ml。 Cefozopranの抗菌作用の もう一つの特徴は,β-ラクタマ *2. methicillinのMIC値≧6.25μg/ml。 ーゼに対する結合親和性 が既存のセフェム系薬剤 に比較 し 1989年ま で にInternationalJournalofSystematic て低いことが報告 されてお り,近年に増加傾向