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授業実践記録（数学） 生徒の疑問を活かした実践―正接定理をつくろう― 山口県立岩国高等学校 西元 教善 １．はじめに 三角比には３種類，つまり正弦，余弦，正接があり，正弦と余弦にはそれぞれ「正弦定理」「余弦定理」と 呼ばれる定理があるのに，なぜ正接だけ 「正接定理」はないのか？……生徒からよく受ける質問である。 そこで，このような生徒が自然に抱く素朴な疑問を活かした実践を行ってみた。 ２．ねらい 生徒が抱く素朴な疑問を生徒自ら解決をしていく問題解決学習をグループ学習という形態で実践し，三角 比の理解を深めることをねらいとした。 S sr (2s a+b+c, rは4ABC 三角比の相互関係，正弦定理，余弦定理，面積の公式（ヘロンの公式， x x abc £ ¤ tanA, tanB, tanC の内接円の半径）， を含む）を駆使して， を， S x Rは4ABCの外接円の半径 4R a, b, c, r, R, S tanA x@@@ a, b, c, r, R, S tanA, tanB, を使って表す。必ずしも という形でなくてもよく， と tanC の関係式であればよいとした。見掛けが違えば，別物とみなし，複数のいわゆる｢正接定理｣を作らせ る。その目的は，これまでの三角比に関わる数学的事実の確認(復習)をさせて，新しい数学的事実を自ら発 見する過程の中でその定着を図り，何よりも数学する楽しさを経験させて，数学により興味・関心を起こさ せることである。 ３．実践方法について 後掲のプリント『「正接定理｣を作ってみよう』を配布し，一人ひとりの生徒がそのプリント(Ａ４版)を読 み，提出用紙(Ａ４版)に探究活動の記録と自分で作った｢正接定理｣をいくつか記入する。 個人探究の時間が１５分間，解決の糸口が見つからない生徒のためのヒントの提示が５分間，５名程度ま でのグループでの探究時間が３０分間である。 ４．実践中のようす 個人探究の時間は黙ってようすを見ていた。見当のつかない生徒も多かったが，１５分間は生徒の試行錯 a sinA a, R sinA x 誤にまかせた。１５分後，「正弦定理」を変形して を で表した式 ｢ 2R ｣と「余弦定理」 2 2 2 sinA b +c a cosA a, b, c O を変形して を で表した式 cosA x を,三角比の相互関係tanA x に代入 2bc cosA すれば，１つできることを説明した。 sinA, cosA 0¸ A 180¸ tanA A 90 ¸ また， は t t のとき，そのすべての角に対してその値があるが， は x a