短期大学生採用における能力識別に関する一考察.PDFVIP

2012-24 短期大学生採用における能力識別に関する一考察 柳田　明子　　村上　英樹 短期大学生採用における能力識別に関する一考察 1 2 柳田 明子 村上 英樹 1 2 東北工業株式会社 神戸大学大学院経営学研究科 本稿は，中小企業である A 社の就職説明会を想定した模擬就職採用筆記試験の回答分析事例研究である．まず定量的分 析においては，A 社が短期大学卒業生に求める資質を変数化し，採用/不採用を決定する要因をロジットモデルによって推定 した．また定性的語彙分析では学生の回答に対し，A 社の職員３名を含む５名の採点者のコメントを分析した結果，定量的分 析と一貫した結果が得られた． キーワード 短期大学生就職 才能識別 ARCS モデル ２項ロジットモデル １．背景と目的 ３．課題と評価 ⅰ 本稿の先行研究である柳田・村上（2012） は，インストラクショ 学生への課題は次の 3 点である． ナルデザインの ARCS モデルを用いて，４年制大学の学生の企 １，A 社の説明を聞いてご自分が志望する職種の業界との違い 業説明会を想定した，模擬就職採用筆記試験に関する実践事例 を挙げてください． 分析を行った研究であった．その知見の１つとして，実践に協力 ２，あなたにとって「これだけは誰にも負けない」といえるエピソ したK大学の学生は中小企業であるA社の求める社員像と乖離 ードを教えて下さい． している事が挙げられた．本実践は，データ収集を O 大学短期 ３，事務職を遂行するのに必要なものは何だと思いますか，あな 大学部経営会計学科の学生（以後短大生と表記する）に更新す たの考えを述べてください． ることで，より A 社の求める社員像に近い分析を行なった． そして回答の評価項目は次の 3 点である． 1．就職先のことを含め，自己分析ができているか． ２．実践内容 2．情報活用能力，能動的に情報活用をしているか． 3．独創的・客観的な意見が述べられているか． 本稿はまずデータ収集の機会として製造業A社の模擬企業説 明会を実施した．実施日は 2012 年6 月1 日で，企業側の説明時 ４．定量的分析と結果の解釈 間は20分であった．学生の回答時間は30分とし，その場で回答 用紙を提出して貰った．回答者は 1 回生13 名，2 回生19 名であ 以上の３点を評価基準として，A 社職員３名を含む５名の採点 った． 者に回答結果を１（非常に悪い）から７（非常に良い）までの７ポ A 社の企業説明内容は，事業内容，社史，組織， 生産実績推 イントで評価を依頼した．この５名の評価者は柳田・村上(2012)と 移などである．次に，企業説明で鈴木(2002) ⅱ 同じ構成である．すなわち A 社の管理職２人，一般事務職員１， を参考に ARCS モ デルを使用した手順を示す．