福祉サービスのための給付制度を『受給者本位』 することについての考察――支援費制度と介護保険制度の検討を中心として――.docVIP

福祉サービスのための給付制度を「受給者本位」とすることについての考察 ―支援費制度と介護保険制度の検討を中心として― A Study about “Consumer Budget Control” of Benefit Supply Systems for Personal Services :Focus on the Examination of the Assistance Benefit Supply System and the Long-Term Care Insurance ― 　　 岡部 耕典 Ⅰ．はじめに 　わが国の高齢や障害の分野における福祉サービスの制度は，介護保険制度や支援費制度のようなサービス費用の給付のための制度として再編されることになり，利用者のサービス利用過程には，現物支給の給付制度化，及びサービスの利用制度化というふたつの大きな変更がもたらされることになった． このため，両制度の構築は，利用制度化にともなうサービス利用過程を中心に行われ，特に，サービス利用契約のための条件整備(enabling)が焦点化されてきた．一方で，現物支給の給付制度化という側面については，その給付が代理受領を中心とするものになり，実際の財とサービスの流れはほとんど変化がなかったこともあってか，相対的に注目は低かったといえるだろう． しかし，２００３年の制度開始直後から始まったいわゆる「支援費制度の財源問題」や制度改革の２００５年を控えた介護保険制度の給付抑制策の検討と被保険者の拡大をめぐる問題は，給付をめぐるマクロとミクロの問題，すなわち，マクロのレベルでの供給の割当調整と，ミクロのレベルでの利用者への給付調整の間の対立関係に関連している(岡部 2004a)． このような現状を踏まえ，給付制度化された福祉サービスにおいて利用者にとっての消費者主権主義(consumerism 平岡 2000)を実現するためには，利用契約のしくみの整備および事業者対利用者間における「利用者本位」（古川 1997））））:64））7．）』 1