中国の外航海運関連制度―船舶登録、税制-日本海事センター.PDFVIP

紹介 中国の外航海運関連制度 −船舶登録，税制，カボタージュ− 森本清二郎 修（政）公益財団法人日本海事センター企画研究部研究員 MORIMOTO, Seijiro 松田琢磨 修（経）公益財団法人日本海事センター企画研究部研究員 MATSUDA, Takuma Global 500”でも，船社としては最上位の172位であるマー 1── はじめに 9） スク（デンマーク）に次ぐ451位にランクインしている ．チャ 中国本土では改革開放政策により市場経済の導入が始 イナシッピンググループも国有企業であり，世界第10位の まった1978年以降，積極的な外資導入と貿易拡大により， コンテナ船船腹量を有するチャイナシッピングコンテナラ 2010年まで年平均で約9％という高い実質経済成長率を イン（CSCL）や石油輸送において中国最大規模を誇るチャ 実現し，2010年には日本を抜いてGDPで世界第2位となっ イナシッピングデベロップメント（中海発展）を傘下に置く． た．2001年にはWTO加盟を果たし，貿易総額は1991年の このような中国海運の発展状況を踏まえて，（公財）日本 1,356億ドルから2013年の4兆1,596億ドルへと22年間で30 海事センターでは，2011年度に中国の外航海運関連制度 1） 10） 倍以上に増加した ． について調査を行った ．本稿ではその調査結果をもと 貿易拡大に伴って，中国発着の海上荷動き量も大きく増 に，中国の外航海運関連制度について最新の情報を織り えている．中国港湾での貨物取扱量は1990年の4億8,321万 交ぜて紹介するものである． 2） トンから2012年の66億5,245万トンへと約14倍に増加し ， 本稿の構成は以下の通りである．初めに中国の船舶登 現在ではコンテナ貨物取扱量で世界トップ10の港のうち，6 録関連制度について説明を行い，次に海運関連税制，カボ 3） 港を中国本土の港湾が占める ．定期航路でのコンテナ荷 タージュ制度について述べ，最後にまとめを加える． 動き量をみると，2013年の北米・欧州の両基幹航路のそれ ぞれの荷動き量の約6割が中国発着のコンテナ貨物であ 2──中国の船舶登録関連制度 り，中国発着貨物はアジア諸国の中で圧倒的なシェアを誇 る．コンテナ貨物以外でも中国発着の荷動き量は大きく， 2.1 中国船舶登録制度 4） 2011年の中国向け鉄鉱石の荷動き量は世界全体の63％ ， 中国海商法（1992年11月7日公布，1993年7月1日施行）第5 5） 中国向け原油の荷動き量は世界全体の13％を占める． 条によれば，中国の法律に基づき登録され，中国国籍を付与 海上荷動き量の増大と歩を合わせて，中国籍船を含む された船舶は，同国の国旗を掲げて航行することができる． 6） 中国商船隊の規模も拡大を続けている ．2013年末現在の 中国船舶登記条例（1994年6月2 日公布，1995年1月1日 百総トン以上の中国籍船は3,937隻，3,470万総トンで，2000 施行）第2条によれば，中国船舶として登録可能な船舶は 年に比べて隻数で約1.2倍，総トン数で約2.6倍に増加して 以下の通