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JNES/SSD08- 08 耐部報 -0005 き裂進展解析システムの整備 ＝溶接残留応力及び過渡荷重の処理機能の整備＝ に関する報告書 平成２０年７月 独立行政法人　原子力安全基盤機構 本報告書は、独立行政法人 原子力安全基盤機構が実施した業務の 成果をとりまとめたものです。 本報告書の複製、転載、引用等には、当機構の承認が必要です。 JNES/SSD08-005 08 耐部報-0005 平成 20 年 7 月 き裂進展解析システムの整備 ＝溶接残留応力及び過渡荷重の処理機能の整備＝ 要 旨 原子力プラントの機器・配管等において、近年高経年化による応力腐食割れ（SCC）や疲労によるき 裂の発生が増加する傾向にあり、き裂進展解析に基づく構造健全性評価の必要性が高まっている。 き裂進展解析を行うには、き裂が進展するたびにき裂長さを変えて新しく解析モデル（メッシュの 再構成）を作成する必要がある。この解析モデルの作成を手作業で行うと解析に膨大な時間を要する ため、自動メッシュ生成が不可欠である。独立行政法人原子力安全基盤機構ではクロスチェック解析 等において短時間でき裂進展解析を行うことを可能にするため、き裂進展解析システムの開発に 着手した。平成 17 年度は、メッシュに自動作成可能な 4 面体要素を用いた解析モデル自動作成ツ ールを整備し、試解析を行うことにより作業時間を大幅に短縮できる見通しを得た。平成 18 年度 は、複合モードのき裂進展解析機能等を整備し、算出した複合モードの応力拡大係数が理論値と ほぼ一致すること等を確認した。 本年度の作業では、第一にき裂進展解析において溶接残留応力を考慮するために、溶接解析コ ードで算出された溶接残留応力をき裂進展解析システムに取り込む機能を整備した。溶接残留応力 解析では精度の高い解析を行うため、解析モデルの有限要素に 6 面体要素を用いているが、き裂 進展解析ではメッシュの自動作成のために 4 面体要素を用いる。また、一般にき裂進展解析では き裂近傍の応力分布を精度良く解析するため、き裂近傍を細かい要素分割としたメッシュを用い る必要がある。以上のように溶接残留応力解析とき裂進展解析では使用する要素の種類とメッシ i ュ数が異なるため、溶接残留応力解析で得られた 6 面体要素内の積分点位置の溶接残留応力デー タを用いて、き裂進展解析システムの 4 面体要素の積分点位置の溶接残留応力データを算出する ことが必要となる。 整備した溶接残留応力取り込み機能では、溶接残留応力解析により算出した積分点位置の固有 ひずみを、移動最小二乗法を用いた補間によりき裂進展解析モデルの要素の積分点位置に初期ひ ずみとして取り込み、き裂進展解析システムで弾性解析を行うことにより溶接残留応力を算出す る。 整備した機能を試解析により評価した結果、溶接解析コードで算出した溶接残留応力とき裂進 展解析モデルに取り込んだ溶接残留応力には差があり、その差を低減するには、き裂進展解析モ デルに用いるメッシュの要素分割を非常に細かくする必要があることが分かった。 第二に過渡荷重による疲労き裂進展量を予測する機能を整備した。き裂のある解析対象に時間 と共に複雑に増減する荷重が加わると、き裂の応力拡大係数が時間と共に複雑に増減する変化を 生じる。一方、き裂進展解析に用いる疲労き裂進展データは、単一の応力拡大係数範囲が繰り返 された場合のデータである。この疲労き裂進展データを用いて過渡荷重による疲労き裂進展量を 評価するためには、応力拡大係数の変化を示す波形から応力