卒論論文【上】(10.4MB)-東京海洋大学.doc

はじめに 現在の地球には大気汚染、温室効果など様々な環境問題があり、私たちはその中で生活している。そのような大規模な気候変動は実際問題にされているとはいえ、なかなか実感をもつことができない。しかし、地球規模的な環境変化だけではなく、身近な気象現象でも変化として現れているかもしれない。東京周辺で言われている都市化によるヒートアイランド現象、大量の大気汚染物質の放出など都市化が進んだことにより生じた結果である。そこで私達は多年にわたる東京商船大学における地上気象データを用いて解析することで地域的な気象について客観的に把握し、近年において何らかの経年変動が見られるかどうか、気温、湿度、気圧、風向風速の気象要素について分析した。 東京商船大学では、第三実験棟屋上にて気象観測を継続して行っている。１９９７年４月からはパソコンを用いた計測システムにより気温、湿度、風向、風速、気圧、日射の６つの気象要素を５分ごとに記録している。今回、１９９７年４月から２００２年１１月までのデータについて解析を行った。（日射については、定期的な校正がなされていないこともありは今回省略した。）温湿計については、メーカーによる校正を１年に１回程度行っている。それぞれの要素に対して１ヶ月を単位としてまとめたデータを作成し、各月の最大値、最小値、平均値などを求めグラフにし、多角的に解析した。 　東京商船大学は東京湾の奥にあり、海陸風の影響、都市化によるヒートアイランドなど局地的な影響を強く受けていると考えられている。このような局地的な地形影響による日変化、季節変化や経年変化を捉えることを目的とした。 地上気象観測システムの概要 ２－１　システムの説明　 　計測システムは第３実験棟６階環境科学演習室に置かれている。各センサからの出力はシリアス出力PC‐9801のRS‐２３２C又は、アナログ出力はAD変換ボードを経由して読み取り５分毎の瞬間値又は、平均値を計算してハードディスクに記録し、１日毎のファイルを作成するようにN８８－BASICでプログラムを作成している。データは毎月、フロッピーディスクにダウンロードしている。全ての測器は標高３０～４０m以内に位置していると考えられる（地上の標高は３m程度である）。気圧計以外のセンサは屋外に置かれている。計測システムは１９９７年４月から現在まで連続して稼動している。図２－２－１にシステムの構成図を示す。 図２－１－１　システム構成図 ２－２　湿度温度計HMP233　(Vaisala社製) 図２－２－１　　　温度湿度計HMP233寸法図?外観図 ?仕様　 《相対湿度》 測定範囲　　　　　　　　　　０～１００％RH 精度(非直線性、ヒステリシス含む)　 　●高精度湿度基準で校正した場合の精度 　　　　　　　　　　　　　　±１％RH（０～９０％RH） 　　　　　　　　　　　　　　±２％RH（９０～１００％RH） 飽和塩にて校正した場合　 ±２％RH（０～９０％RH）　　　　　　　　　　　　 ±３％RH（９０～１００％RH） 　応答速度（９０％応答、２０℃、微風時において） 　●焼結金属フィルター装着時 　　　　　　　　　　　　　　　約１５秒 センサ　　　　　　　　　　　HUMICAP　Hセンサ 《温　度》 測定範囲　　　　　　　　　　－４０～１２０℃ 精度（２０℃において）　　　±０．１℃（電気的精度） 温度係数（回路部）　　　　　±０．００５℃／℃ センサ　　　　　　　　　　　Pt１００RTD１／３DIN４３７６０B 特長 マイクロプロセッサ内蔵のため?ユーザーの条件にあわせての変更が比較的容易にできる。周囲の相対湿度と温度を測定し?これから露点温度?混合比?絶対湿度および湿球温度を演算する?デジタル、アナログ同時出力可能。この湿度センサは?高分子薄膜による水分吸収時の容量変化を利用して作動している。温湿度計は毎年１回程度の頻度で校正しており、相対湿度は１０％と８０％の２点で校正している。当研究で使用しているヴァィサラの温湿度計は，東京商船大学の第三実験棟屋上に設置してある。なお、センサ部分は屋上の手すりにラジエーションシールド付きで固定されており、直射日光による影響は最小限にしている。 ２－３　アナログ気圧変換機PTB１００A（Vaisala社製） 図２－３－１　アナログ気圧変換機PTB１００A外観図 仕様 測定圧力範囲　　　 PTB１００A　　　　　　　　８００～１０６０hPa 使用温度範囲　　　　　　　　－４０～６０℃ 保管温度範囲　　　　　　　　－６０～６０℃ 使用湿度範囲　　　　　　　　結露せぬこと 精度 PTB１００A 直線性