事例小学校算数科第3学年「かけ算のひっ算」.docVIP

事　例 小学校　算数科　第３学年　「かけ算のひっ算」 テーマ 数学的な考え方を育てるための授業展開の工夫改善 授業改善のポイント ?筋道を立てて考える力を育てるための表現力の育成を図る学習活動 ?互いの考えを練り上げるための学習活動の工夫 １　学習状況の把握と分析 学習状況の把握 【評価規準】 観点 算数への 関心?意欲?態度 数学的な考え方 数量や図形についての表現?処理 数量や図形についての知識?理解 評　価　規　準 ?桁数が増えても乗法九九を用いれば計算することができると考え、２、３位数の乗法の計算の仕方を進んで考えようとする。 ?乗法を位ごとに分けて分配法則を用いて考えることができる。 ?２位数や３位数に１位数をかけたり２位数に２位数をかけたりする計算が確実にでき、それらを用いることができる。 ?２位数や３位数に１位数をかけたり２位数に２位数をかけたりする乗法の計算の仕方を理解している。 ?整数の乗法に関して成り立つ性質について理解している。 【把握方法】 「数と計算」領域の前単元における下の(1) (2)の実態から，児童の数学的な考え方を把握した。 (1) 課題提示後のノートに書かれた考えの記述 (2) ペア交流と全体交流時の発表の内容及び発表に対する反応 学習状況の結果と分析 【結果】 (1) これまでの授業実践の積み重ねで、「まず」「つぎに」「そして」「最後に」の言葉を用いて順序よく、自分の考えをまとめて説明できている児童が多くなった。しかし、根拠やポイントを明確にしての説明ができている姿は十分とは言えない。それは、何を根拠やポイントとして述べれば相手に伝わりやすいのか、どこまでの根拠を用いればよいのかが曖昧であるからである。 (2) ペア交流では、自分の考えを積極的に述べることのできる児童は多く、ほとんどの児童ができる。しかし、話し手はただ自分の考えを話すだけの一方的なものになり、聞き手も「分かりました」という反応で終わっていることが多く、形だけものになっていることがある。 また、交流においての考えの高まりや練り上げがあまり見られないので、全体交流の場で自分から発表する児童が少ない。全体交流時に一人の児童が発言した後には、意見がつながらず、考えを練り上げるまでには至らないことが多くあった。 授業改善へ ２　分析に基づく授業改善 (1) 授業改善の方針 数学的な考え方の育成のためには、表現力を育てる必要があると考える。表現力が養われれば、自分の考えをうまく相手に伝えられるようになったり、自らの力で考えを構築できるようになったりする。さらに算数への興味?関心が生まれてきたり算数の知識?理解を深めたりするなかで、数学的な考え方のよさを味わい、数学的な考え方が養われていくことと考える。 今回対象の中学年では、低学年における具体物を使った操作活動中心であった表現から、線分図などの半具体物をモデルとして操作する表現に移行する段階である。そこで、操作や図とつなげての表現力の育成を図る授業の工夫改善を図りたい。 また、互いの考えを練り上げるために、それぞれの考えの「同じ」である部分に着目して聞き、そこから共通性?関連性を見出し、まとめをつくりあげていくことのできる学習活動も工夫改善していきたい。 (2) 改善の具体的方途と実践 ①筋道を立てて考える力を育てるための表現力の育成を図る学習活動 今まで児童は、個人追究後、「まず」「つぎに」「そして」などの言葉を用いて、ノートに自分の考えを記述してきた。また、ノート作りができた児童からホワイトボードに自分の考えの要点を絞って書き込み、ペア交流や全体交流時の道具として役立ててきた。 そこで、さらに次のように改善し、実践を行った。 ア　ポイントを絞ったノート作りから表現力の育成を図る学習活動 イ　操作とつなげて表現力の育成を図る学習活動 ア　ポイントを絞ったノート作りから表現力の育成を図る学習活動 考えづくりにおけるノート記述の時に、?まず??次に??そして?…の代わりに①②③…と表現し、一連の文章ではなく箇条書きで根拠をかき、根拠の次に式を書くようにした。児童の実態に応じて今までと同じ方法でもよいことを伝え、ペア交流や全体交流の中で表現のよさを実感し、徐々に自分の方法に取り込んでいくことができればよいこととした。 この改善からポイントを絞って書き、自分の考えを再構築したり、順序や根拠がより明確になったりして、表現力の育成が図られると考えた。 従前のノート記載 改善したノート記載 まず、32を2と30に分けます。 つぎに、2と30のそれぞれに3をかけます。2×3＝6、30×3＝90。 そして、それぞれの答えを合わせます。6＋90＝96。 だから、3