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岩石力学-4(岩盘分类)
6.岩盤分類による岩盤構造物の設計-経験に基づく岩盤構造物の設計-
6.1 概説-施工事例の多い岩盤構造物の設計方法と施工法
山岳トンネルやダムなど岩盤構造物の施工事例が相当数ある場合には、5章で述べた標準的な設計手法は使わないのが普通である。過去に蓄積されている経験を上手に活用すれば、多くの調査?測定?解析を省略しても、合理的な設計を行い適切な施工法を見出すことが可能である。その具体的な方法が岩盤分類法である。
本章ではこの岩盤分類法の考え方、使い方、本方法の適用限界などについて説明する。
6.2 岩盤分類法による設計の背景
6.2.1 岩盤分類法による設計の考え方
トンネルなどの岩盤構造物については、施工事例( case history )が相当数集積されている。これらは種々の岩盤を対象に様々な状況の下で施工されている。また、施工法や支保
岩盤区分
施工法と
成功率 区分1 区分2 ??? 区分n 施工法
成功率 A
施工法
m1A B
施工法
m1B C
施工法
m1C A
施
工
法
m2A B
施
工
法
m2B C
施
工
法
m2C A
施
工
法
mnA B
施
工
法
mnB C
施
工
法
mnC 区分nに属する岩盤に対してA施工法を採用したときの成功率
NnA:区分nに属する岩盤にA施工法を採用した事例の総数
MnA: 〃 して成功した事例の総数
図6.1 施工事例の整理
も多岐に亘る。全ての施工事例について、遭遇した岩盤の性状と採用した施工法を次のように整理してみる(図6.1参照)。
①岩盤の品質や岩盤の状態?環境を適当に区分する。
②施工事例毎に、遭遇した岩盤を上記の区分にあてはめる。
③同時に、採用した施工法について、成功率m=(成功した施工数)/(全施工数)を求める。図6.1の表の下欄にこれが記されている。
図6.1からどのような施工法を採用すれば成功する率が高いか、あるいはどのような施工法が失敗する率が高いかが容易にわかる。すなわち、この図は最適な設計法の選択に使うことができる。
このような整理を系統的に推し進めたのが岩盤分類法であり、本方法は経験に基づいた設計法であることは明らかである。
岩盤分類法によって岩盤構造物を設計するには次のようにする。
①岩盤分類法で決められた調査を行う
②調査結果を岩盤分類法に照らして、調査地が岩盤のどの区分(または等級)に属するかを決める。
③その区分に適する設計と施工法を求める(このために、通常は表が用意されている)。
調査終了後の設計段階およびそれ以降の施工段階のいずれにおいても、この岩分類法は有用である。
6.2.2 岩盤の特性( site characterization )と岩盤分類法
岩盤分類法は次の仮説に立脚している。
①ある岩盤構造物の建設の可否がそれに依存するような岩盤の特性が存在する
②岩盤特性は等級付けができ、いくつかのパラメータを測定して求めれば決定することができる
多くの岩盤分類法では、岩盤特性として「岩盤の(総合的な)強度あるいは品質」を採用している。この強度(あるいは品質)は、岩盤を構成する基質部の強度と不連続面の性状に依存し、それらの程度に応じて等級付けをしているので、この等級付けは相当に合理的であると判断される。一方、岩盤の強度(品質)と施工可能な構造物の間には強い相関がある(例:岩盤の強度とダムの種類)。したがって、上記の①、②の仮説は妥当であり、岩盤分類法には合理的な根拠があると判断される。
しかしながら「岩盤の(総合的な)強度あるいは品質」を厳密に定量化することはできない。それよりも、この方法の信頼性と汎用性の高いことの方が工学的には重要である。岩盤分類法を決める過程で使った施工事例の数が多く、かつ採用した事例の内容(地質状況や採用した工法など)についての情報が一定の品質(正確さ)を保っていれば、それだけ信頼性や汎用性が高くなることは間違いない。代表的な岩盤分類法であるRMR法(6.5.1参照)は世界各国での事例に基づいて作られているので、世界中で使われ有効性が確認されている。日本における事例を基に開発された岩級区分法(6.5.2参照)は、国内では有効であるが、海外でも有効であるか否かは不明である。
下記の条件を満たしていれば優れた岩盤分類法であるといえる。
(1)分類法で指定した調査項目に従えば、間違いなく(私見を挟むことなしに)等級付けができる
(2)各調査は容易に実行でき、かつ調査項目の数が多過ぎない
唯一つの調査項目によって確実な等級付けをするのは困難であり、複数の調査項目の組み合わせが必要になる。しかし調査項目
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