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13．近似アルゴリズム １３．１　　近似アルゴリズムの種類 ヒューリスティックと近似アルゴリズム α近似アルゴリズム β近似アルゴリズム ＡＰＸ PTASとFPTAS 近似アルゴリズムの存在 １３－２．巡回セールスマン問題 ハミルトン閉路問題と巡回セールスマン問題 巡回セールスマン問題への帰着 幾何巡回セールスマン問題（GTSP） NTSPとGTSP ２近似アルゴリズム ２近似アルゴリズムの動作 近似率の解析 １．５近似アルゴリズム ２近似アルゴリズムの動作 近似率の解析 １３－３．ナップザック問題 ナップザック問題における欲張り法（グリーディ法、Greedy法） 欲張り法の性能 欲張り法で悪い評価値を出すインスタンス ナップザックの1/2近似アルゴリズム 近似率 ナップザック問題に対するFPTAS FPTASの評価 計算時間 ナップザック問題の近似可能性 以上より、次の関係式が導ける。 なお、ここで、　　　　は価値　　　の最大値である。 ナップザックに対する1/2近似アルゴリズム １．欲張り法によって解　　　　を求める。 ２．価値が最大のものを一つだけ選ぶ。 ３．上の２つのうちで大きい方を解　　　　として　 　　出力する。 　アルゴリズムの出力（解）　　　　とする。このとき、以下の式が成り立つ。 以上より、1/2近似アルゴリズムであることがわかる。 * 　NP困難な問題に対しては多項式時間で最適解を求めることは困難であるので、最適解に近い近似解を求めるアルゴリズムが用いられることがある。 　　このように、必ずしも厳密解を求めないアルゴリズムは、 大きく分けて２つの範疇に分けられる。 精度保証付き 理論的解析が主 ヒュ－リスティクス （発見的解法、経験的解法） 近似アルゴリズム 遺伝的アルゴリズム（GA） アニ－リング（焼きなまし法） タブサーチ ローカルサーチ ニューラルネット 等 精度保証無し、 実験的評価が主 定数近似アルゴリズム（APX） 多項式近似スキーム（PTAS) 完全多項式近似スキーム（FPTAS) ここでは、近似アルゴリズムについてみていく。 　最小化問題に対して、いつも最適解のα倍以下の解を入力サイズの多項式時間で求めるようなアルゴリズムをα近似アルゴリズムという。ここで、　　　　　でありαを近似率という。すなわち、最適解を と表し、アルゴリズムの解の評価値を　　　　　　　と表すと、常に次の式を満足する。 　最大化問題に対して、いつも最適解のβ倍以上の解を入力サイズの多項式時間で求めるようなアルゴリズムをβ近似アルゴリズムという。ここで、　　　　　でありβを近似率という。また、βを近似保証ということもある。すなわち、最適解を と表し、アルゴリズムの解の評価値を　　　　　　　と表すと、常に次の式を満足する。 α（あるいはβ）定数であるようなアルゴリズムが存在するクラスをＡＰＸ（APproXimation)という。 　近似率α（β）を限りなく１に近づけることができるとき、そのようなα近似アルゴリズムをPTAS(Polynomial Time Approximation Scheme,多項式時間近似スキーム)という。すなわち、任意の正数　　　　に対して、　　　　　　　　　とできる入力サイズの多項式時間アルゴリズムをPTASという。さらに、入力サイズ　　と精度　　　の多項式時間アルゴリズムFPTAS（Fully Polynomial Time Approximation Scheme,完全多項式時間近似スキーム）という。 問題によっては、PTASが存在しない（知られていない）ものがある。また、定数近似すら存在しない問題もある。このようなアルゴリズムの出力は入力サイズに依存した近似値になってしまう。 近似アルゴリズムが存在するクラス APXが存在するクラス PTASが存在するクラス FPTASが存在するクラス 巡回セールスマン問題には、ネットワーク型と、幾何型とがある。 　ネットワーク型の巡回セールスマン問題では、入力は辺重み付きのグラフであり、出力は頂点を全て辿る閉路で重みの総和が最小のものである。 5 2 2 　三角不等式を満足しないようなネットワーク型の巡回セールスマン問題は、近似アルゴリズムを得ることすらNP－困難である。 　具体的には、定数近似アルゴリズムが存在するとと、NP完全問題であるハミルトン閉路問題が多項式時間で解けてしまう。つまり、ハミルトン閉路問題をネットワーク型の定数近似巡回セールスマン問題に帰着できてしまう。このことより、ネットワーク型の巡回セールスマン問題には定数近似アルゴリズムは存在しないと考えられている。 名称：ハミルトン閉路問題