図書紹介食品流通が食の安全を脅かす.pdfVIP

図書 紹介 知らなきゃヤバイ!食品流通が食の安全を脅かす 著者 ：米虫節夫（大阪市立第学大学院）?野口英雄 （エルオフィス）? 平井由美子（消費生活アドバイザー） 発行：日刊工業新聞社／〒103-85481 東京都中央区日本橋小網町14-1／℡03-5644-7490 （書籍編集部）／A5 判／153 頁／価格1400 円（税別）／2010 年2 月18 日発行 国内では、食品の産地偽装やＢＳＥ問題、微生物汚染事故が起こり、食の安全性が問われ て久しい。このような問題の根絶には、食品メーカーだけでなく食品流通や小売まで含めた フードチェーン全体で徹底した管理体制の確保が必要である。本書は、古い慣習や管理の不 徹底さが指摘されている食品流通において世間ではあまり知られていない食品流通の実態 とその問題を明らかにしている。帯には「ご都合主義の食品流通が不詳事の背景になってい る!」とあるように食の安全性を物流?流通からみたユニークな成書である。 Chapter １ 食品の安全を左右する食品流通 Chapter ２ 食品流通の構造上の問題点 Chapter ３ 食品流通で今なにが起きているの？ Chapter ４ 生鮮食品物流の問題点 Chapter ５ 拡大する冷蔵物流のニーズと課題 サブタイトルを見ていくと、Chapter １は、消費者の権利に関するケネディーの４条件、 フードチェーン全体での食品安全、「食の安全」?「食品の安全」とは?、食料自給率も「食品 の安全」のひとつ、「消費期限」はだれがきめているのか?、食品の安全の第1 歩は「微生物 管理」から!、食品安全の仕組みづくり～HACCP の誕生と問題点～ である。 Chapter ２は、食品流通の特徴は最寄品を大量に扱うことと安心多段階の流通経路、流通コ スト増が食品不祥事の温床になっている、品質?衛生管理を製造工程並みにしないとヤバイ!、 食品流通にはセキュリティ対策も重要、加工食品でも鮮度を求められている!、流通工程で管 理すべきことがある～SCM の重要性を理解しょう～、不公平な商習慣を変えなければ、全 体がよくならない!である。 Chapter ３は、低温流通にかかるコストは社会全体で負担しなければならない、フランチャ イズシステムは食生活を豊かにしている？、中食が増加すればするほど消費者の良い食べ方 が求められる、1 年中あらゆるものが食べられることの方がエネルギーを多く使っている、 1 栄養成分強調表示がかえって摂取量をわからなくしている である。 Chapter ４は、詰め合わせ弁当の消費期限表示の年月日はトリックを持つ、卵はいつまで食 べられる？、土付き野菜も魚も食品だから、衛生的に安全に取り扱わなければいけません!、 それでも安くて見た目がきれいな野菜が好きですか？、野菜、果物も適温が保たれてこそお いしく食べることができる、わかりやすい魚類名の表示がかえって混乱を生む？、欠品して もすぐさま生活に影響を及ぼすことはない である。 Chapter ５は、自然食品や調理済みへのニーズで低温化が進む、保存温度は２種類だけじ ゃない、何種類もある等、１次産品は生きている商品を扱う、コールドチェーンが欠落して いる現状、鮮度低下を防ごうとするとこすとコストもリスクも増える!、「高コスト?高環境 負荷」をどう変えていくか、「在庫ゼロ」の流通にどこまで近づけか である。 各 Chapter の終わりには、我慢と計算、生協と食品の安全性、スーパーマーケットにお けるフロアメンナンスの提供、家庭の食生活から見た加工食品と物流、グローバル?コール ドチェーンでの大成功～韓国産パプリカの対日輸出の5 つのコラムが設けられている。また、 巻末には索引もあり、フードチェーンに係る会員諸氏にとってはハウツウ物の感がないでも ないが、食の安全性を物流?流通からみるという発想から目から鱗の箇所もあり、是非一読 にすることをお勧めする （学会事務局）。 2