胃腸外科専門医養成概要.pdfVIP

胃腸外科 専門医養成??? 概要 胃腸外科は消化器外科のうち，食道から胃，小腸，大腸（結腸?直腸）に至る消化管の良性疾 患から悪性疾患までの外科治療を担当しています。非常に手術の難易度が高い食道癌，日本 人に多い胃癌，著しく増加している大腸癌など治療の善し悪しが予後に直結する癌の手術，炎 症性腸疾患センターが設置されたことにより受診患者が増加している潰瘍性大腸炎やクローン 病の手術，虫垂炎?憩室炎及びそれらの穿孔による腹膜炎などの日常診療でよくみられる疾患 の緊急手術などを中心に，経験できる症例は多彩でかつ豊富です。 当科は，従来当院において消化器外科，乳腺甲状腺外科を担当してきた第二外科から臓器別 診療科の流れの中で独立しましたが，研修課程では肝胆膵?移植外科を含めた消化器外科全 般を学び修練することが必須であると考えています。従って，後期研修期間中は消化器外科と いう枠組みの中で肝胆膵?移植外科の両方が経験できるように研修をおこないます（希望者は 乳腺科も選択可能です）。 胃腸外科での研修は上部消化管（食道?胃）と下部消化管（小腸?大腸）のふたつに分けておこ ない，消化管疾患に対する診断や治療を通じて，内視鏡，腹部超音波などの手技や腹部CT， MRIなどの読影に習熟すること，治療方針を立案すること，実際に治療（手術）を行い，術後管理 を行えるようになることを目的としています。症例によっては化学療法や初期の緩和ケアまで経 験することも可能です。ただ，いたずらに症例を重ねるだけではなく一例一例を大切に，病態を 考えながら万人の納得できる治療法を会得してもらうことを目指しています。 現在，消化器外科医の需要はまだまだ多くあります。しかしながら従来のように何でも屋的な 外科医ではなく，スペシャリストもしくはサブスペシャリストが必要とされる時代になりつつありま す。そのためにはまずしっかりとした基礎作りをしておく必要があります。当科では上記のような 臨床経験を豊富に積むことができるだけではなく，外科学会?消化器外科学会をはじめ多くの学 会専門医?指導医が皆さんの研修を行っており，スキルアップ，キャリアアップに最適な環境を提 供できると思います。 Making GI History and Making Your Career with Us!! 当科の特色 肝胆膵?移植外科とともに診療をおこなうことにより，広く消化器疾患の外科治療を中心として経 験できることが特徴です。 臨床面では，食道癌，胃癌，大腸癌に関して根治性と低侵襲のバランスのとれた治療を目指して います。食道癌は日本内視鏡外科学会の技術認定医が中心となり鏡視下手術を推進しており，従 来の手術とは格段の差の低侵襲手術を基本としています。胃癌では世界に先駆けてセンチネル ナビゲーション手術を取り入れており，これと鏡視下手術を組み合わせることによって根治性を損 なわずに胃切除範囲を縮小し且つ傷も小さいという究極の縮小手術に取り組んでいます。高度進 行胃がんに対しては，日本のオピニオンリーダーとして術前化学療法や腹腔内化学療法などの新 しい治療法を開発し，普及に努めています。また大腸癌にも積極的に腹腔鏡手術をはじめとした 低侵襲手術を取り入れ，直腸癌に対する神経温存?肛門温存手術とともに術後の障害を軽減する ように心がけて治療を行っています。さらに進行?再発癌に対しては拡大手術のみならず各科との 連携の元，放射線療法や化学療法を併用した集学的治療を積極的に行い治療成績の向上を目指 しています。 また炎症性腸疾患センターの一員として，内科治療困難な潰瘍性大腸炎やクローン病の外科治 療も担当しています。 研究面においては，学位取得や専門医取得のために基礎，臨床の面から多くの研究を行ってい ます。基礎研究面においては，伝統ある胃および食道発癌モデルを用いた実験をはじめとして各 種微小転移に関する研究，転移モデルを用いた研究，抗癌剤の感受性に関する研究など臨床に 即した研究テーマを取り扱っています。 また臨床研究においても，消化管の電気生理学的研究，各癌腫毎の治療成績や予後因子の検 討，診断?手術手技に関する研究を行い積極的に国内外での学会発表や論文化を行っています。 また単に担当医として症例を経験するだけではなく，専門医試験以上の内容が討論される術 前，術後のカンファレンスに参加することにより，高度かつ最新の知識を取得することが可能で す。さらに後期研修中には外科学会，消化器外科学会，消化器病学