『社会思想史』-koara.pdfVIP

11 『社会思想史』 ２００７年度秋学期 坂 本 達 哉 2 講義の基本方針 １． 講義範囲はルネッサンスから産業革命まで ２． 講義中?後の質問を歓迎 ３． PPTレジュメを2回に分けて配布予定 ４． 休憩時間15分は時間割通りとは限らない ５． 毎回、出席簿を回覧して自己申告する ６． 補講をふくめ、出席回数が半分未満で失格 ７． 成績評価は学期末試験による ８． A25％ B35％ C25％ D15％ （実績） 3 序 「社会思想史」とは何か 経済学（説）史と経済思想史 政治学（説）史と政治思想史 社会学（説）史と社会学思想史（≠社会思想史） 哲学?倫理学史と哲学?倫理学思想史 これらの総合としての「社会思想史」 → 「社会の中で人間はいかに生きるべきか」をめぐ る人類の自問自答の歴史 4 （付）慶應義塾大学における社会思想史研究の伝統 明治２１年、かつて塾長をつとめた小泉信吉を父として東京市芝区三田に 生まれる。 明治４３年３月、大学部政治科を卒業し、大学部教員となって大正元年９ 月経済学および社会問題研究のため、イギリス、ドイツに留学。 昭和８年１１月には選ばれて塾長に就任、以来２２年１月退任にいたるま での１３年余の長期にわたり塾務につくした。 １８年１１月帝国学士院会員となる。 昭和２０年５月、戦禍をうけて負傷したが、戦後昭和２４年には東宮御教育 常時参与に任ぜられる。 昭和３４年１１月、文化勲章を授与される。 昭和４１年５月１１日没。７８才。 明治１７年生まれ、新潟出身。 明治４１年３月大学部政治科卒業、同４２年４月から大学部予科教員となり、 ４４年５月ヨーロッパに留学したが、病のため大正元年９月帰国。 大正９年４月経済学部教授兼法学部教授となり、昭和９年４月から同１３年 ３月まで経済学部長をつとむ。 昭和２１年４月から２２年１月まで病気療養中の塾長小泉に代わり塾長代 理に就任。 塾外にあっては昭和２２年１月、第１次吉田内閣の文部大臣に就任。同２ ２年２月帝国学士院会員、２３年８月芸術院院長。 昭和３７年、文化功労者として顕彰され、昭和５４年１１月文化勲章を授 与される。 昭和５７年２月９日死去、享年９７歳。 5 参考文献（通史?教科書） 近世社會思想史大要 、小泉信三、岩波書店 , 1926 社會思想史研究 、河合榮治郎、岩波書店 , 1940. 社会史的思想史、三木清?林達夫?羽仁五郎?本多謙三、1949年、岩波書店. 社会思想史概論、高島善哉[ほか]、岩波書店, 1962. 近代政治原理成立史序説、福田歓一、1971. 社会思想史、出口勇蔵、筑摩書房 , 1976. 社会思想史、平田清明編、青林書院新社 , 1979. 社会思想史、城塚登著.改訂版、放送大学教育振興会 , 1990. ヨーロッパ社会思想史、山脇直司、東京大学出版会 , 1992. 社会思想史を学ぶ人のために、平井俊彦編 、世界思想社 , 1994. 社会思想小史?新版増補、水田洋、ミネルヴァ書房、1998． 西洋政治思想史－視座と論点－、川出良枝?山岡龍一、放送大学教材?2001. 6 「思想」とは何か 科学(science)と思想(????)の関係 自然科学と社会科学の異同 → ウェーバー＝動機の意味理解から歴史の因果関連の究明へ → ポパー＝反証可能性としての科学的命題 思想と宗教?信仰?文学 etc. 思想は科学を前提する（矛盾しない）が、科学を超える歴史性と 個性をもつ 27 「社会的なもの The Social」（アレント）の出現 古典古代（ギリシアのポリス?共和制ローマ） 公的世界 （男性有産市民→個体性＝複数性＝政治活動） 私的世界 （女性と奴隷→一般性＝生命の再生産活動） 近代社会（市場社会）の成立と公共世界の崩壊 → 生命?欲望原理（商品生産）の支配?普遍化 → 疑似似公共世界（市場社会）の出現 8 １）「労働 Labour」----《労働は人間の肉体の生物学的過程に対応する活動力であ る。人間の肉体の自然的成長、新陳代謝、そして最終的な腐朽は、労働によって 産み出され、生命過程へと供給される生命の必要物に拘束されている。労働の人 間の条件は生命それ自体である。》アレント『人間の条件』ちくま学芸文庫、９頁。 ２）「仕事Work」（「製作」）----《仕事は、全ての自然環境とは際立って異なる物の ?人工的?世界を作り出す。この物の世界の境界内に、それぞれ個々の生命は住ま うのであるが、この世界そのものは、それらの個々の生命を越えて存続するように できている。仕事の人間の条件は世界性である。》同上、19-20頁。 ３）「活動 Action」----《活動とは、物や物質の介入なしに、直接、人と人との間で行 われるべき唯一の活動