37鼓膜の面積は前庭窓膜の【a20分の1倍b20倍】である.docVIP

感覚 2005-06-21 version イントロ／経路 　ある刺激が神経を通じて大脳皮質に到達し，意識された場合，感覚が生じたという．知覚ということばもほとんど同様に使われている．刺激は生体外のものとは限らない．膀胱充満による尿意，血糖値低下による空腹感などは，生体内に生じた刺激による感覚である． 　通常の感覚は，受容器，感覚路，大脳皮質の三者がすべて機能して生じている．受容器とは，刺激を電気的信号に変換する装置である．感覚路には，受容器に生じた電気信号を神経インパルスとして大脳皮質まで伝える役目がある．末梢から中枢へ向うため，求心路，上行路などともよばれている．末梢神経，中枢神経のいずれをも，感覚路は通過している．たとえば，手への刺激は，正中神経だけではなく，脊髄と脳をも感覚路として大脳皮質に伝えられる．また，血糖に対する受容器は視床下部にあり，その感覚路はまったく末梢神経を通らない．どの感覚路も視床を通ってから大脳皮質にいたることは共通している．大脳皮質は意識的活動の中枢である．感覚路の神経活動は大脳皮質に到達してはじめて感覚が生じるのである． 　通常の感覚はこの三つの機能で生じるのであるから，一つ欠けても，通常の感覚は生じない．手術をするとき，感覚を低下させなければ疼痛が激しく，手術はできない．このとき，受容器，伝導路，大脳皮質のどれか一つの機能を低下させればよいのである．切開すべき皮膚に直接，麻酔剤を投与すると，局所麻酔により受容器の機能が低下し痛みは生じなくなる．また，感覚路をどこか一ケ所でブロックしてもよい．脊髄麻酔はこの様式による麻酔である．全身麻酔をかけると最初に大脳皮質の機能が低下する．このとき，受容器，感覚路が活動していても，刺激を感覚することはなくなるわけである． 　異常な感覚は，受容器，伝導路，大脳皮質の三つすべてを必ずしも機能させずに発生する．たとえば，机の角に肘をぶつけると，尺骨神経が発火し，小指に痺れが発生する．受容器が刺激されなくても，感覚は，異常な様式で発生し得るのである． イントロ／分類 　感覚の種類は次のように分類される． 内臓感覚：　自律神経によって伝えられる感覚である．臓器感覚，内臓痛，関連痛に分類される． 体性感覚：　体性神経によって伝えられる感覚のうち，上記以外のもの．受容器が一つの臓器を形成するほど発達してはおらず，皮膚や筋などのなかにある．次の三つに分類される． 皮膚感覚：皮膚にある受容器によってひき起こされる感覚． 深部感覚：筋，腱，関節にある受容器によってひき起こされる感覚． 特殊感覚：体性神経系によって伝えられる感覚のうち，受容器が一つの臓器(目，耳など)にまで発達しているものをいう．味覚(味蕾)，嗅覚(嗅細胞)，聴覚(蝸牛)，平衡感覚(前庭器，三半規管)，視覚(網膜)の ５種類がある． 感覚の一般的特性／適当刺激 　受容器は，ある情報を得たいがためにその刺激を感知しやすいように分化した器官である．当然，その刺激に対する閾値は低い．ある受容器に対して閾値の低い刺激を適当刺激という．光は網膜において神経活動をひき起こしやすい刺激であるが，内耳にとってはほとんど何の意味もない．光は網膜の適当刺激であるという． 　ある受容器は適当刺激によってのみ刺激されるのではない．適当刺激以外の刺激に対する閾値は高いが，その刺激が充分に強ければ受容器は活性化される．閉眼状態で，眼球を押すと，模様が見えたりする. 感覚の一般的特性／投射と特殊感覚エネルギーの法則 　感覚は感覚路から大脳皮質に活動電位が届くことで生じる．しかし，その感覚を感じる部位は，大脳ではなく，受容器のある部位である．指先にお湯をかけると，”熱い”と感じるのは大脳皮質に活動が届いたからである．しかし，”熱い”のはあくまで指先であり，これが感覚の投射である． 感覚の一般的特性／刺激の強さと感覚の強さに関する諸法則 Weberの法則：　ある強さの刺激に対し，強さの違いが感覚され得る別の刺激との差を識別域という．識別域と刺激の強さとの比は一定であるとする説をWeberの法則という．刺激が弱ければ，少し変化しただけでその変化は感覚されるが，刺激が強ければ，変化量も大きくなければ，その差はわからない． Fechner（フェヒナー）の法則：　感覚の強さは刺激の強さの対数に比例するとした説 Stevensのべき法則：　感覚の強さは刺激の強さの指数に比例するとした説 感覚の一般的特性／順応 　ある刺激が一定の強さでつづいているにもかかわらず，受容器の感度低下により，その感覚が減弱ないし消失することがある．このような現象を順応という．香水を付けても本人はすぐにその匂いに順応してしまい，感覚できなくなる．触覚，嗅覚，味覚は順応しやすい感