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生物生産機械学　　 PAGE  PAGE 58 生物生産機械学　テキスト６ 2．噴　　霧　　機 　噴霧機（sprayer）は液剤をポンプで加圧し，ノズル（nozzle）から噴霧することにより微粒化して散布する機械で，液剤は①殺虫剤，殺菌剤，殺ダニ剤，除草剤など多様な薬剤に対応可能，②液滴粒径を自由に調節できる，③広がりやすく，浸透，付着性が良好で，持続性が大きいなどの特徴を持っている? 1）動力噴霧機 　動力噴霧機（power sprayer）は，通常プランジャポンプ（plunger pump）が用いられ、プランジャの往復動により吸水，吐出を行い，ノズルから液剤を散布する．簡易型のプランジャポンプを除き，吐出圧力の変動を軽減するために3本のプランジャを持つ3連式が用いられる．図にプランジャポンプの外観を示す．吸水行程では，液剤はストレーナを通り，吸水口から吸水弁を押し開けてシリンダ内に入る．吐出行程では，加圧された液剤が吐水弁を押し開け，吐水口から排出される．吐水口には空気室（air chamber）があり，吐出圧力と吐出量の変動を抑える．ノズルから噴霧される液剤の量は全吐出量の1割程度のため，余った液剤は余水として調圧弁（pressure regulator）を通ってタンクに戻る．調圧弁は吐出圧力を一定に保ち，余水はタンク内の攪拌に用いられる． 　ポンプ本体，駆動用Vプーリおよび連接棒には，軽量化のためアルミ合金が使われる．一方，薬剤に接する吸?排水マニホールドには耐食性を考慮して砲金が用いられる．薬剤と直接接触し，かつ，耐圧性も要求されるシリンダ，弁，プランジャ，空気室にはステンレスが用いられる． プランジャには耐食?耐摩粍性に優れたセラミツク製スリーブをかぶせることが多い．吸水?吐水弁は質量の小さい球面状の平弁で，高速回転での追従性が良好で効率も高い．調圧弁は，球弁，ばねおよび減圧レバーで構成され，球弁を押すばねの強さを変えて吐出圧力を設定する． 減圧レバーは球弁を弁座から外して吐出圧力を一時的に開放する．ポンプの始動時には圧力を開放状態にしないとポンプの自吸水作用が働かない．空気室の上部には圧縮された空気があり，圧力変動と吐出量の脈動を吸収し一定に保つ．空気室の容積はポンプ行程容積の6～7倍である．空気室に欠陥があると破裂する危険性があるため，耐圧力を最高吐出圧力の3倍以上とする． ノズルは加圧した液体をノズル孔から噴霧して微粒化する．ノズル板は耐摩耗性の高いステンレスやセラミックが用いられる．液体の旋回流の有無とノズル孔の形状により，噴霧パターンは4種に大別される．直射ノズルは液体に旋回運動を与えないため，スプリンクラや畦畔散布ノズルのように遠方まで散布したいときに用いる．直射ノズル以外は液体に旋回運動を与える渦巻ノズルで，渦巻室（swirl chamber）に導溝のある中子を組み込む方式と，ノズルへの流入口をノズル軸線からオフセットして，中子を省略する方式が実用化されている． 図は中子を持つノズルの断面である。汎用の中空円すいノズル（hollow cone nozzle）と中実円すいノズル（solid cone nozzle）には種々の孔径を持つノズルが市販されており，噴霧量と吐出圧力をもとに選定するが，吐出圧力が変わると噴霧角が変化する。扇形ノズル（fan-shape nozzle）はだ円形のノズル孔を持ち，吐出圧力の変化による噴霧角の変化が少ないため，ブームスプレーヤに用いられる． 2）ブームスプレーヤ （久保あゆみ　+　2009　松本麻奈美） (1) 噴霧器の概要 動力噴霧器は、薬液や水などを高圧（20～30kgf/cm2）にして、ノズルで霧化して飛ばし、防除や洗浄をする機械である。背負型（バッテリー式含む）、可搬型（携帯/ポータブル）、定置型、車輪付き、走行型（ブーム?スプレーヤ）があり、プランジャ式とピストン式がある。現在、プランジャ式でプランジャの数が3つ（3連）あるものが多く使われている。 　ブームスプレーヤは、多数のノズルが付いたブーム（竿）と動力噴霧器をトラクタに搭載し、一行程で大面積に薬液や水を散布する。 (2) 噴霧器の構造 a. ポンプ ポンプは薬液や水を汲み上げて圧力をかけるもので、プランジャ式とピストン式がある。構造は、クランク機構によりシリンダ内を往復運動するプランジャ又はピストンのほか、吸入弁、吐出弁などからなり、動力は、エンジンまたはモーターからVベルトによって伝達されるが、クランク機構は、この回転運動をプランジャやピストンの往復運動に変換する機構である。クランク機構箇所は、オイルによって潤滑し保護されている。 b. 使用するオイルについて ポンプ部クラ