豊かな人間性を培う家庭教育の推進－親子アンケートを基にした.pdf

豊かな人間性を培う家庭教育の推進 －親子アンケートを基にした家庭教育支援－ 橿原市立畝傍中学校 教諭 山 野 薫 YamanoKaoru 要 旨 急激な少子化・高齢化の進行、地域の結び付きの弱まりにより、家族や家庭の有り様 が大きく変化するとともに、子育てに悩みをもつ保護者が増えている。また、思春期の 子どもとの接し方に戸惑う保護者も少なくない。このような状況を踏まえ、学校と家庭 がどのように連携していくべきかを、家庭教育の推進という観点から考察する。 キーワード： 保護者への支援、学校と家庭の連携、子どもの自立 １ はじめに 今年度４月、私は１年生担任になり、とても新鮮な気持ちでクラスの子どもたちと出会った。定 例の家庭訪問が過ぎ５月の宿泊訓練が終わったころから、子ども一人一人がよく見えてくるととも にそれぞれの家庭の様子が少しずつ分かってきた。そんな中、思春期の子どもとどう向き合えばよ いか戸惑い、模索している保護者からの相談を受けた。それ以降も、家庭内の問題や保護者の悩み を聞き、ともに考えた件数が今までになく多くあった。確実に、家庭からの相談ごとが増えてきて いる。多発する少年犯罪が大きな社会問題になるとともに、子どもたちが犠牲になる犯罪が後を絶 たない今、家庭と学校の相互の連携がより一層必要となる｡ そこで、子どもたちの豊かな人間性を 培い、よりよい成長を支えるために、学校と家庭がどのように連携していけばよいかを研究する。 ２ 研究目的 各家庭には、それぞれの保護者の教育方針があり、家庭教育に対する考え方にも違いがある。そ んな家庭における教育を、私たち教員がどんな形で支援していけるのかを考え、子どもたちが健全 で希望にあふれる生活を築くための手助けをする。現在の中学生の生活実態をとらえ、保護者自身 の生活や意識と照らし合わせて、彼らの健やかな成長のために学校と家庭がどのように連携してい けばよいかを考察する。 ３ 研究方法 (1) 学校生活とつながる家庭教育とその支援 (2) 親子アンケート実施・分析に基づいた家庭教育支援 (3) 道徳の授業実践から考える家庭教育支援 ４ 研究内容 (1) 学校生活とつながる家庭教育とその支援 - 1 - 学校の中では、子どもたちを巡って毎日様々なことが起こっている。遅刻や忘れ物、口げんか、 校内での事故もあれば、いじめ・暴力に至る大きなトラブルまで様々である。学校で子どもたちに かかわって起こったことは、どんな些細なことでもその日のうちに電話や家庭訪問等を通じて家庭 に連絡する。本校では年間２回三者懇談を行う。更に学級懇談も年に２回行っている。これらの懇 談も保護者の声を聞くことのできる貴重な機会である。また、本校では、学級経営の一環として『班 ノート』活動に取り組んでいる。集団づくりの核に班活動を据えるという学校教育方針の下、クラ ス内の生活班のメンバーで毎日ノートを回して書いていく。班員がお互いを理解するとともに教員 が子どもを知る材料として『班ノート』は大いに活躍している。、 このような日々の子どもや保護者とのかかわりの中で、家庭の様子が見えてきたり、保護者の思 いが感じられたりすることが度々あった。それを受けて、どのように保護者や家庭を支援できるだ ろうかと考えた。その具体例を以下に紹介する。 ア 『班ノート』から家族像とその課題が見える例 男子生徒Ａによる班ノートの一部 お父さんは最近カレーとか作ってお母さんの手伝いをしています。やっぱり家族は、みんなで助け合ったり協力したりするの が家族だと思います。ぼくは、たまにご飯をたいたり、洗濯物を干したり取りこんだりなど家の手伝いをしています。みなさん は家の手伝いをしていますか？たまには家の手伝いをしていると気分がすっきりしたり、悩みごとが解決したりしますよ。 みなさんも家の手伝いをして毎日働いている親の手助けをしてみてはいかがですか。意外と親やもちろん自分もうれしくなり ますよ。