法務総合研究所研究部報告.pdfVIP

法務総合研究所研究部報告 　　　　　　　　　　　　　　11 　　　　　　　一児童虐待に関する研究一 　　　　　　　　　　　　（第1報告） はしがき…………………………………………………………………頃 安 健司 …　i 要旨紹介………………………………………………………………………加　澤正樹 …ii 少年院在院者に対する被害経験のアンケート調査 ………………………………1 　　 　 「児童虐待に関する研究会」のまとめ………………………………………………… 251 　　　　2001 法務総合研究所 ⅰ は　し　が　き 　法務総合研究所研究部が，最近実施した調査研究の結果を取りまとめ，ここに研究部報告第11号を刊 行する。 　法務総合研究所研究部報告第11号は，「児童虐待に関する研究（第1報告）」として，研究部が平成12年 に少年院在院者を対象に実施した被害経験に関する調査の結果及び児童虐待問題に関する研究会の実施 概要を報告している。 　子供に対する身体的，心理的虐待等については，近時，児童相談所等への通告・相談件数が急増する など，深刻な社会問題として国民の関心が高まっており，平成12年5月，児童虐待の発見と防止のため の「児童虐待の防止等に関する法律」が制定されたところである。児童虐待については，従来から，医療， 福祉等の領域で調査研究が進められており，虐待が子供の心身の発達に及ぼす影響のみならず，後年の 非行・犯罪との関係，暴力的傾向の世代間連鎖等のさまざまな問題を含んでいることが指摘されている。 このような状況を踏まえ，研究部では「児童虐待に関する研究」（2か年計画）として，刑事司法の現場 における児童虐待の問題を取り上げた。 　研究部報告第11号として報告する「少年院在院者に対する被害経験のアンケート調査」は，全国の少年 院を対象に，家族からの身体的暴力等の被害経験を尋ねる初めての調査の結果報告であり，少年院在院 者における虐待問題の広がりや，虐待がその当時の少年に与えた影響等について分析している。また， 児童虐待問題に関する研究会においては，医療，社会福祉，法律等の関連諸領域における児童虐待の現 状についての報告と，それらを踏まえて，検察，矯正及び更生保護の現場の処遇を児童虐待という視点 から見直すことを試みたので，その概要を『「児童虐待問題に関する研究会」のまとめ』として報告する。 　児童虐待問題については，関係諸領域の研究者，実務家による学際的アプローチが求められていると 思われるところから，本報告書が有効かつ適切な児童虐待対策の検討にいささかでも寄与することがで きれば幸いである。 　最後に，少年院在院者に対する被害経験に関する調査の実施に当たり，御理解と御協力を賜った法務 省矯正局及び少年院の関係各位に対し，心から謝意を表する次第である。 平成13年3月 法務総合研究所長 　　　頃　安　健　司 ⅱ 要　旨紹　介 　この研究部報告は， 「児童虐待に関する研究（第1報告）」として，2編の報告が掲載されており，利 用の参考のため，各報告の要旨を紹介する。 「少年院在院者に対する被害経験のアンケート調査」 　1　調査の実施概要 　「少年院在院者に対する被害経験のアンケート調査」は，非行少年における被虐待経験の状況を把握し， 被虐待経験のある少年の特性等を分析することを通して，少年院等の処遇及び児童虐待の防止全般に資 する資料を得ることを目的とした。