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法曹実務家講演会 法律家の基礎・法的三段論法をマスターしよう 110326TOKYO 法律家の基礎・法的三段論法をマスターしよう ご担当 辰已専任講師・弁護士 福田 俊彦先生 １ 司法試験において最も重要な発想である「法的三段論法」とは何か ＳＴＥＰ１ 大前提： 要件→→効果 （←条文の要件の文言解釈を行う。） ↓ ↓ ↓ ＳＴＥＰ２ 小前提：事実→→要件 （←問題文の事実を要件にあてはめる。） ↓ ↓ ↓ ＳＴＥＰ３ 結 論：事実→→→→→→効果 ２ 基礎講座，法科大学院では何を学ぶか （１） ＳＴＥＰ１ 大前提 ・憲法：違憲審査基準＝どのような場合に違憲となるかを判断するための基準。 ・民法：要件事実 ＝どのような要件を満たせば，効果が発生するかを考える。 正確にいえば，効果が発生するための必要最小限の要件を考える。 ・刑法：構成要件 ＝法定刑を発生させるために必要な要件を考える。 （２） ＳＴＥＰ２ 小前提 事実認定（民事（民法，商法）と刑事（刑法）のいずれも） - 1 - 辰已法律研究所 法曹実務家講演会 法律家の基礎・法的三段論法をマスターしよう ３ 具体例 （１）刑法１９９条の殺人罪 「人を殺した者（注：構成要件）は，死刑又は無期若しくは５年以上の懲役に処する（注：法定刑）。」 ＳＴＥＰ１ 大前提 人を殺した者→→死刑又は無期若しくは５年以上の懲役 ↓ ↓ ＳＴＥＰ２ 小前提 私 試験管ベイビー→→→→→「人」 脳死状態の患者 ↓ ↓ ＳＴＥＰ３ 結 論 私 →→→→→→→→→→→→死刑又は無期若しくは５年以上の懲役 脳死状態の患者 （２）民法９５条の錯誤 「意思表示は，法律行為の要素に錯誤があったときは（注：要件），無効とする（注：効果）。ただし，表 意者に重大な過失があったときは（注：要件），表意者は，自らその無効を主張することができない（注：効 果）。」 ＳＴＥＰ１ 大前提 ①法律行為の要素→→→意思表示は無効 ②錯誤 ↓ ↓ ＳＴＥＰ２ 小前提 動機の錯誤→→→→→→→②錯誤 ↓ ↓ ＳＴＥＰ３ 結 論 動機の錯誤→→→→→→→→→→→→→→→→→→意思表示は無効 辰已法律研究所 - 2 - 法曹実務家講演会 法律家の基礎・法的三段論法をマスターしよう ４ 法的三段論法を答案で示すためにはどうするか（司法試験の答案の基本型） 第１ 設問１ １ ○○○について （１）本問の事案の問題提起（具体・個別）→論点の問題提起（抽象・一般） （２）論点の論証：理由→規範定立（抽象・一般） ←ここの「理由」は，可能ならば，条文の趣旨や基本原理から書きたい。 （３）あてはめ（ここは，「問題文の事実の引用→その事実についての自分なりの評価→認定」という３段階 で書く。） （４）結論（具体・個別） 答案を上記の型で書くと， ① 答案が法的三段論法を踏まえたものとなり，「具体→抽象→抽象→具体」と流れ， ② 自分が設定した問いとそれに対する